読書のすすめ｜10代の頃に読みたかった、そして自分の子供にも読ませたい青春小説
大人になって読んだが、10代の頃に読んだら少し違った青春時代を過ごせたかもしれない小説。恩田陸の「夜のピクニック」である。
繫ぎ留めておきたい、この時間を。
小さな賭けを胸に秘め、貴子は高校生活最後のイベント歩行祭にのぞむ。誰にも言えない秘密を清算するために――。永遠普遍の青春小説。
高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。
舞台としては、ただ歩くだけ。
全校生徒が 夜通しかけて 80 キロを歩く高校の伝統行事「歩行祭」
しかし、この歩くだけという限られた「状況」のなかで、登場人物それぞれの感情の動きを繊細に表現してあり、心地よく感情をトレースできた。
人間関係の伏線や、ちょっとした謎がスパイスになっていて飽きさせない工夫もある。
夜歩くという非日常的な行動や、長距離を歩くことの疲労など、いつもと違う状態が、いつもと違う会話になるのだろうし、自分との会話をする時間になるのだろう。
実際、わたしの高校時代にも「鍛錬遠足」というものがあった。
距離は35キロほどと半分以下になるが、早朝から高校に向かってゴミを拾いながらひたすら歩くのだ。
5、6人の班ごとに分けられ、大きいビニール袋をもって歩くのだが、ゴミを拾うたびに重くなり後半キツくなるという鬼畜仕様なのである。
夕方到着し、終わったと思ったら…
いつも通り部活があるというおまけ付き。
今思うと、いい思い出？である。
そんな思い出もあり、昔を思い出したい時はこの小説を読みたくなる。
10代の頃に読んでいたら、限られた貴重な時間をもっと大切に使えたかもしれない。人との関わり合いももっと大切にできたかもしれない。
それぞれの青春時代は、それぞれの心の中にあり、それぞれで色んな感じ方があるだろう。まぁ、わたしの場合はいい思い出ばかりじゃなく、思い出すとのたうち回りたい事もあるのだけれど…
読後は、なんとも言えない爽やかさが残った。
まるで一緒に歩いたかのような感覚も。
恩田陸の作品をたくさん読んだわけではないのだが、1番に思い浮かぶのはこの小説だ。
わたしの中で子供が高校生になったら読んでもらいたい小説No.1である。
周りの雑音も大切に、限られる時間を大事にいきてほしい。
昔を思い出してノスタルジックな気分に浸りたい人はぴったりな小説。
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