読書のすすめ|結局怖いのは人間… サバイバルホラー
わたしが高校生の頃に出会った一冊。
「リング」を読んでジャパニーズホラーにハマっていた時期があり、その時に特に面白いと思った本がこの「クリムゾンの迷宮」である。
主人公が目覚めたら、小説の表紙のような赤い岩だらけの峡谷にいて、ゼロサムゲームのサバイバルに巻き込まれるというもの。
「ゲームブック」のように物語は進行していき…
今流行りの異世界転生ものかと思いきや、まさかの現実世界拉致もの。
初版が1999年なので驚きだ。
「ゲームブック」って今もあるのだろうか。
わたしが小学生や中学生の時にはよく遊んでいた。
RPGの本バージョンといった感じで、学校でゲームしている感覚で少しドキドキしていた。われながら小心者である。
物語は終始緊迫感があり、一気に読んでしまう。
描写がリアルでその状況を生々しく思い描くことができ、没入感のあるサバイバル体験ができる。
協力的と思われた人間の豹変する怖さといったら…
途中グロい表現などがあるので、耐性がない方はご注意を。
わたしだったら、序盤で食料になるかも…
お酒は飲めないし… 主人公と同じ選択肢も取らないだろうし…
貴志祐介の小説には「黒い家」や「天使の囀り」といった名作があるが、わたしはこの作品ではじめて作者の名前を知った。
この作品を読んだ衝撃は忘れられず、この作者の別の小説を探して読み漁った記憶がある。
もちろん、「黒い家」や「天使の囀り」が秀逸すぎて一般的にはそちらの方がおすすめである。だがしかし、わたし個人的にはこの「クリムゾンの迷宮」を推したい。
当時、ゲームブックで遊んでいたことや、ゲーム好きであったことも要因にあるだろうが、一番印象に残る小説であった。
この本に出会えたことが、小説を読み続ける一因であったことは間違いない。
大人になって再読したが、やはり名作は時が経っても色褪せない。
当時の思い出もあいまって、夢中になって一気に読んでしまった。
古い作品であるが完成度が高く、今でも十分面白いのでおすすめする。