標本って何?という方へ
私が主催する海の生きもの講座では、標本をさわったり観察したりしながら生きものについて学びます。そこで今日は標本についてまとめてみました。
そもそも「標本」とは
死んだ生きものなどを保存できる状態に加工したもの。腐らないように加工することで、数年後、時には数百年後の人が観察しようと思ったら観察できるように作られています。大きなものは一部切り取るなどして部分的に保存している場合もあります(DNA解析用に少し肉片を取る、クジラの背骨だけを残すなど)。
標本というと難しいイメージがあるかもしれませんが、それは研究に使用される 学術標本 がのイメージが強いからではないかと思います。
学術標本は、いつ、どこで、誰が採集したかなど、研究に使用できるくらいの裏付けがしっかりとある標本の事です。保管場所や保管方法も決まっていて、各施設で標本管理番号などがふられています。新種の証拠になるような標本もあり、こういったものは博物館などで大切に保管されています。
時折、博物館や研究所のイベントで一般に公開されます。
標本はさわっても大丈夫?
ホルマリンなどの毒性が強かったり鋭利なものでない限りさわって大丈夫です。ですが、先に書いたように研究する上で重要な学術標本のようなものは気軽にさわってはいけません。しかし、私が講座で扱う標本は気楽にさわって大丈夫です。
学術標本ではありませんし、私が所有者であり作成者なのでさわるには私の許可だけでよいのです。ただ、壊れるととても困るものもあるので、そういうものは事前にそのようにお伝えしています。
標本ってどんな種類があるの?
標本は保存処理の方法によって様々なタイプがあります。私が扱う標本は4タイプ。以下に簡単に紹介しますね。
1)乾燥標本
防腐処理をして乾燥させたもの。昆虫やサメの皮膚など、表面が硬いものに向いています。
2)液浸標本
アルコールやホルマリンなど防腐効果がある液体と一緒に、瓶などに入れて保存する標本です。研究室でずらっとならんでいるイメージがあるかもしれません。液体につけるのでクラゲなど体が柔らかい生きものをそのまま保存できます。
3)骨格標本
肉を取り除き、骨を組み立てた標本です。魚の骨だけのものや、博物館などでみられるキリンなどの動物の骨がイメージが付きやすいかもしれません。
4)剥製
ウロコや甲羅などを含む表面(皮?)だけを残して中に詰め物をし、生きている時の形を復元したものです。生きている時の色を装飾するなどしてより本物に近づける加工をする場合もあります。
この他に、インテリアとしても注目されている 透明骨格標本 も標本の一種です。これは薬液を使用して肉を透明化し、軟骨と硬骨を異なる色で染め上げるという特殊な加工がされています。生きものを解剖することなく、骨を観察できるすばらしい技術だと思います。
おわりに
標本について簡単にまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?簡単に作れるものから特殊な技術や材料が必要なものまで様々な種類があります。私は特別なものは使わずに標本を作成しています。作成の様子についてはまたそのうちに書いていきますね。お楽しみに^^
ではでは