地元愛から始まる、新しい形のコーヒーファクトリー
今回取材させていただいたのは、周南市月丘町にある「周防コーヒーファクトリー」さん。
「コーヒーの町、周南市」を広めたい!そんな思いで決定した今回の特集にピッタリなお店です。
◼️お店について◼️
周防コーヒーファクトリーは、2021年7月7日にオープンした新しいロースタリー。
周南市で運輸事業、学習塾事業を展開している三浦運輸株式会社が運営しており、オーナーを会社代表取締役社長の三浦眞美さん、実店舗の店主を会社取締役の山口傑貴さんが務められています。
今回の取材では、店主の山口さんにお話を伺いました🗣
オープンの日、7月7日は、月丘という地名が空を連想させることから、覚えやすい七夕🌌(織姫さまと彦星さまが天の川を渡って1年に1度だけ会える日)の日にしたとのこと。
現在お店がある場所には、数年前までカフェがあり、そのカフェの閉店後ずっと空き店舗となっていたところに周防コーヒーファクトリーがオープン。
大きな柱や中二階など、ちょっと歪(いびつ)な造りの建物に惹かれ、この場所に決めたのだとか。
今でも、数年前まであったカフェの頃のお客様がこの場所を懐かしんで来店されることもあるそう。
止まっていた時計が動き出したような、そんなワクワク感があるのかもしれないですね🕰
女性のお客様が多く、7割くらいを占めているそう。コロナ禍でおうち時間が増えたこともあり、「ちょっといいものが飲みたい」という方がこだわりの豆を買いに来てくださるのだとか。
店内は広々として清潔で、コロナ対策についても、アルコール消毒、テイクアウトでの提供、間隔を空けてのご案内などが行われています。
◼️お店の特徴・システム◼️
このお店は、他にはない珍しい特徴があります。
なんと、
世界各国77種類の生豆
(令和4年3月10日時点)
を取り扱っているんです。
(店舗HPでは72種類と掲載されていますが、実際店舗には78種類の生豆が置いてあります。※取材時、店主の山口さんに確認済み)
それに加え、購入までのシステムも特徴的で面白いんです。
※購入までの流れ※
❶店員さんがお客様の気分や好みを伺いながら、
購入する生豆をコンサルティング
(もちろん自分で選ぶのもOK)
⬇︎
❷お店の大きな焙煎機で、約7分でお好みの度合いに焙煎してくれる(全8段階)
⬇︎
❸豆or粉でお持ち帰り
豆以外にも、テイクアウトメニュー(天然水水出しアイスコーヒー¥400、スタッフ気まぐれホットコーヒー¥350)やコーヒーを淹れるためのグッズも多数揃っています。
◼️お店の豆について◼️
たくさん種類がある中から自分好みの豆を見つけるのってなかなか難しいですよね💦
でも、ここでなら、店員さんが優しく丁寧におすすめの豆を提案してくださるので、初めましての方でもとっても安心です!🔰
実際、お店で数種類ほど豆を購入しましたが、とっても丁寧に説明してくださいました。
私が購入したのはこの3つ!
❶パプアニューギニア コルブラン(相反するはずの酸味とコクが両立)
❷ケニア ピンクフラミンゴ(滑らかな口当たり、チョコレートとの相性◎)
❸中国 雲南ウォッシュ(クリーンでいてアップルジュースのような味わい)
筆者自身、もともと苦味やコクのある深煎りの豆が好みなので、今回クリーンな味わいの中国雲南ウォッシュに関しては少しだけチャレンジの気持ちでした!
それぞれの豆に特徴があって面白いし、できれば全部制覇したい!笑
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ここでちょっとした「豆」知識。
ピンクフラミンゴ以外にも、コモドドラゴンなど、お店には動物の名前の入った生豆が数種類ほどあります。
豆なのに動物の名前?なぜ?そんな疑問が取材班の頭に浮かびました💭
それにはこんな理由があるそうです。
「コーヒーの生産地に生息する動物たちの生態系を守りたい」。
こうした環境保全の観点から豆の売上げの一部は動物の保護団体に寄付されているのだとか。
コーヒーを通して、環境に対する配慮や還元するシステムが構築されているのです。
コーヒーの名前に、環境に対する思いが反映されていることを知り感動しました。
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そしてそして・・・
お店のイチオシの豆についても山口さんに聞いてみました。
お客様の好みにもよるので、これがイチオシ!というのは選べないそう。
一番売れているのは、先ほどご紹介した「パプアニューギニア コルブラン」だそうです!
これまたポップ(宣伝文)での紹介の仕方がなんとも面白いんです。
『死ぬほど旨い』
!!!!!
衝撃的な謳い文句!これは買わずにはいられませんよね。
私もこれに引っかかったうちの一人です。笑
あっさりスッキリ、それでいてコクがある。
シンプルで、どんな方でも飲みやすいと感じる豆だと思います。
コルブラン以外にも、お店の方の思いがこもった魅力的なポップがたくさんあるので、ぜひチェックしてみてください!
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他にも、酸味が好きな方、苦味が好きな方それぞれにおすすめの豆を教えていただきました!
酸味が好きな方には、エチオピアの豆、ゲイシャ種、モカなどがおすすめだそうです。
苦味が好きな方には、インドネシアの豆や、(冷めても美味しく飲める)ミャンマーの豆、あとはケニアのマサイ族が栽培している豆もおすすめだそうです。
「マサイ族」からどうやって仕入れるの?!気になりますよね。
マサイ族からの仕入れも含め、周防コーヒーファクトリーでは豆の仕入れを商社が仲介しているそうです。
豆の仕入れは一日二日でどうこうなるものではなく、生産者の元へ足繁く通って、時には収穫を手伝いながら、関係性を築くことが重要なんだとか。
豆の生産地は1,000m〜1,500mの標高の山地が多く、酸素の薄い過酷な環境での作業になります。そのような環境での生産者さんや商社さんの努力もあって、美味しいコーヒー豆がお店に並んでいるんです。
コーヒーにまつわるこのような背景を知るだけでも一杯一杯を大切に飲もうという気持ちなります☕️
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ちなみに、コーヒーを美味しく飲むことができる期間って皆さん気になりませんか?
私はすごく気になったので、山口さんに聞いてみました。
焙煎直後のコーヒー豆は焼けているので、ガス(CO2)が付着している状態になっているんだとか。このガスが抜けていく1週間と、味が落ち着いてからの1週間の合計2週間が味が楽しめる期間なんだそうです。
これを目安に飲み切ると、味の変化を楽しみながら美味しく飲むことができるのではないでしょうか🙌
◼️山口県産のコーヒー豆ってあるの?◼️
取材班2人、豆のプロではないので、あるかな?ないかな?と思い巡らせてこんな質問もしてみました。
「山口県産の豆ってあるんですか?」
答えは、NOでした・・・😂
しかし!
お隣広島県呉市で、昨年の5月に国内でも珍しいコーヒーの木を植える試みがされたそうです!
通常コーヒー豆の栽培は、収穫まで2、3年かかるそうです。しかも、コーヒーの産地は、赤道直下で寒暖差の激しい国が多いため、広島でのコーヒー豆の栽培はまさにチャレンジ!
温暖湿潤気候で標高が高い山地があまりない日本では、ビニールハウスでの栽培になる。その分コストも高くなり、希少価値も上がるため、高額な豆になることが予想されるのだとか。
広島が成功したら、次は山口でもチャレンジしてほしいですね!
◼️コーヒーの美味しい淹れ方◼️
美味しい豆を購入したら、次にやることは一つ。
コーヒーを美味しく淹れること!
そこで、コーヒーの美味しい淹れ方のコツを山口さんに聞いてみました!
美味しいコーヒーを淹れるためには、お湯の温度、豆の量、豆の挽き具合が大事なんだとか。
まず、お湯の温度は沸騰して泡が消えるくらいの温度(91度〜95度くらい)が目安。
豆の量は、大体コーヒー1杯が150mlくらいなので、それに対して8〜10gくらいがおすすめ。
豆の挽き具合は、ペーパーフィルターの場合は、中挽きよりもやや細かめに。挽き具合は19段階あり、数字が大きくなるほど粗挽きになっていくそう。
10番が真ん中で中挽きなのでそれよりも少し小さい数字くらいがいいのだとか。
また、フィルターの種類(円錐形、台形、穴の数の違い等)によってもお湯の注ぎ方が変わってくるそう。円錐形のものだと、細いノズルのケトルじゃないと難しいそうです。
こだわると色々なグッズまで欲しくなっちゃいそうですね!
ちなみに、初心者の方には台形のフィルターがおすすめだそうです。
◼️お店の歴史とロゴに込められた思い◼️
取材も後半。コーヒーについてたくさんお話を聞いた後は、「店舗について」と山口さんにフォーカスしたお話を伺いました。
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周防コーヒーファクトリーは、店主である山口さんのある思いから始まりました。
会社で新規事業をやっていくことになった時に、山口さんが地元山口県に対して感じていたある課題をぶつけてみることに。
それは、少子高齢化、都市部への人口流出。
特に進学で若者が流出する中で、男性よりも女性の減り方は顕著で、山口さんはこれについて「働く場所がないからだ」という結論に至ったのだとか。
もともと前職が、県内にある地方銀行の銀行員だった山口さん。
その頃から山口県の経済発展に寄与したいという思いがあったそう。
そこで、大勢を雇用できるわけではないけれど、少しでも地元の役に立ちたい。関係人口を増やしていく取り組みがしたい。そんな思いでまず始めた新事業が、
「キッチンカーまめっこ号」
まめっこ号は、山口県防府市(TSUTAYA防府店)や周防大島町など、各地のイベントなどで出会えるキッチンカー。
美味しいコーヒーやジュース、ベーグル、お菓子などを販売しています。
Instagramもあるのでチェック✔︎
周防コーヒーファクトリーは実店舗よりもキッチンカーが先だったそう!意外でした😲
しかし、キッチンカーだけでは、利益、雇用、関係人口の創出の面でも厳しかったことから、焙煎の店舗をつくり、そこから豆を提供し、キッチンカーでも販売していく、という今の事業形態を考えたそう。
もの心がついた時には山口県周防大島町で育っていたという山口さん。
お父様の仕事の関係で、県東部を転々とされていたそう。そういったこともあり、県東部を表す「周防」という地への思い入れの強さがあるのだとか。
この思いが、現在の店名にも繋がっています。
また、周防コーヒーファクトリーのカラフルなロゴ「S」にもさまざまな意味が込められているのだとか。
S自体の意味は、
周防コーヒーファクトリーの「S」
周南市の「S」
三浦運輸が旧新南陽市にあったことからくる「S」
世界一の「S」
を表しているそう。
ロゴの色は、写真のような4色で構成されており、
茶色がコーヒー豆の色
黄色が三浦運輸(株)の企業カラー
青と緑が周防の国の青い空や海、山並みの色合い
を表しているそうです。
地元愛に溢れたお店であることがひしひしと伝わりますね!
そんな素敵な思いで生まれたロースタリー。
美味しいコーヒーを提供したい、その思いの裏には地元の発展に寄与したい、という思いが込められています。
コーヒーがこの街を担う商材の一つになり、コーヒーを生業とする個性豊かなそれぞれのお店が集まることで、街の発展に繋がっていく。
山口さんの描く未来に聞いているだけでワクワクしますね!
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1時間の取材でしたが、内容がとても濃く、素敵なお話をお伺いすることができました!
山口さんによると、店名を「一期一会」にしようかと考えていたことがあったそうです。
自分のお気に入りの豆との一期一会の出会いを求めてまだ足を運んだことのない方にもぜひ訪れていただきたいお店です。
今回取材を受けてくださった山口さん、ありがとうございました。
◼️基本情報◼️
(店名)
周防コーヒーファクトリー
(営業時間)
OPEN:10:30-18:30
店休日:毎週水曜日
(水曜日が祝日の場合、翌営業日が店休日)
(住所)
〒745-0062
山口県周南市月丘町2丁目32文化長屋A
(電話番号)
℡ 0834-51-6194
(店舗HP)