見出し画像

自殺は悪か?

自殺は悪いこと?とパッと聞かれると、「うん、悪いことだよ」と、私はすぐに返してしまうと思います。
しかし、本当にそうでしょうか。無責任な回答ではないでしょうか。
私に自殺願望はないので、ちょっと客観的な視点から考えてみたいと思います。


 まず、善悪についてを考えてみます。
私たちはどんな基準で善悪を判断しているのでしょうか。
私は、
 信じているものを正義だと感じる
のだと思います。

例えば、ヒーローAが正義だとして描かれている物語の視点は、ほぼ必ずA側です。ヒーローAに投影させるためにはヒーローA視点にする必要があるあからです。
そして私たち観客は、Aに共感し、Aを信じ、Aが正義だと感じます。

では、正義のヒーローAと、正義のヒーローBが戦う物語とします。どちらが本物の正義のヒーローでしょうか。
それは、観客がどちらに投影するかによって変化します。
A側に投影(共感)するとAが正義になり、逆も可能です。

つまり、私たちは信じている方を正義と呼んでいるのです。



 私たちは、正義を”(ある程度)客観的なもの”と感じていると思います。
しかし、本当に正義か悪かは客観的に判断できるものでしょうか。
正義か悪かの判断は、上記の通り”信じているものを正義だと感じる”のですから、信じるもの=主観=視点 によって変化します。
判断基準に主観が入っている以上、客観的に正義か悪かの判断はできません。
玉ねぎアレルギーなのにオニオンリングを食べたいといっているようなものです。

例えば、
Aさんは、トイレにあったBさんの財布を交番に届けるために、財布を持って行った。
Bさんは、Aさんに財布を盗まれた(と思っている)。
とします。
この状態では、どちらも正義 になります。
AさんもBさんも、善に基づいて判断しているのですから。
つまり、善悪はやっぱり、行為(客観)で判断されるのではなく、感情(主観)によって判断されるため、客観的に判断しようがありません。
その人がどう思って判断したかは、誰にもわからないからです。

脳波の測定(?)とかから、その状況で、善と悪のどちらに基づいて行動してたかを知れるようになったりすればようやく客観視できるようになりますね。


ではなぜ、正義を客観と感じてしまうのでしょうか。
その原因はおそらく、視野の狭さにあると思います。
相手側の視点が見えていないが故に、自分側の情報しかそろっていない。
自分側にある情報だけでどちらがいいかを判断すれば、もちろん自分に有利な(相手に不利な)判断結果になってしまいます。
「私は手持ちのすべての情報(客観)で判断しました、公平な判断です。」って言っているようなものです。確かに客観的な判断の”仕方”かもしれないけど、実際には客観的な判断になっていません。”手持ちの情報”にしか基づいていないのなら、もはや主観です。
つまり、正義を客観だと思ってしまうのは、相手側に関する情報の不足が原因です。
だから私たちは、相手を不利にしようと思って自分たちを正義といっているわけではなく、視野が狭いから勘違いしてしまっているだけ という状況も十分にあり得るんですね。
行為自体は間違っていないのです。



正義と悪の判断基準についてまとめると
 私たちは、信じているものを正義だと感じている。
 つまり、正義は客観的ではなく、主観的なものである。
 正義と悪で対立するのは、持っている情報の違いが原因(たくらみがある場合はそれも原因になる)。


では、自殺は悪か について、もう一度考えていきましょう。
結論、人による です。

上記の通り、善悪は主観によってかわる=人によって変わる のは当然ですね。
ただ、これは 客観的で論理的な、自殺は悪か論 の結論です。
でも、私たちは主観的で感覚的な世界に生きています。
この論理を普段の生活にどのように生かせるのでしょうか。



実践編
例えば、
「自殺したいんだけど…」という風に他人に相談されたら、どのように返せばいいのでしょうか。

まず、今回の論理に基づいて客観的に答えると、”あなたに行動を選択する自由がある限り、どちらでもいい(好きにしてください)。”となります。
ちょっと冷たすぎますね。

選択を迷ったとき、理論も頼りがいがありますが、損得で考えてもいいと思います。
メリットで考えてみましょう。

死なないで
・責任を逃れられる
・相手が一時的な感情に振り回されているのかもしれない
(とりあえずストップって言っておけば、いつかは幸せになるかも)
・”相談”という形なら、相手に死にたくないという感情があるのかも
(迷いがないなら、決断☞即死)

死んでもいいよ
・本当に相手にとって最適なアドバイスなら、楽にしてあげられる

こう見たときに、基本的には死なないでという方が”得”なので、ストップさせるのがマストな答えになると思います。
あと、そういった相談を受けたときには、相手のお話をしっかり聞いてあげたいですね。



~~
なんか…人情のない人みたいになってないですかね ⊙﹏⊙∥
あと、こういったテーマなのは、私が病んでいるからとかじゃなくて、純粋に疑問に思ったのと、より人間の”核”に近いかなぁと思ったからです。

死といえば…
ベックリンの『死の島』は印象的です(絵画)。
私は、人間の底の”暗さ”よりも”優しさ”とかプラス側のほうが好きですが、死の島はそれでも惹かれます。
物語とかの背景がなかったり、具体的な状況がわからなかったりするから観る人の想像力を根こそぎ掴み出してくれる、そんな印象を受けます。


いいなと思ったら応援しよう!