私のここが埋まるまで(1歳6ヶ月)
1歳6ヶ月になった頃から寝かしつけの時に腕枕を求められるようになってきた。
『春日のここ、空いてますよ』の『ここ』だ。
寒くなってきたからかもしれないし、なんとなく母にくっつきたいと思ってくれてるからかもしれない。
分からないけれど急にくっついて眠るようになったその姿が愛おしくてたまらない。
ミニヌーは生まれてすぐからしばらくの間、眠れないと泣き、抱いても泣き、ミルクを飲み終えても泣き、また抱いても泣き、ほとほと困ってまだほとんど濡れていない軽いオムツを変え、それでも泣かれて困り果て、育休中のパパヌー共々ノイローゼに片足突っ込んでいた気がする。
気がするっていうのはとにかく記憶が無いから。
日中はずっと泣いていて睡眠もまとめて取れず、比較的長く眠れる夜も2時間おきの授乳を求めて目を覚ます。一日でいえば8時間程度の睡眠しか取れないめちゃくちゃ体力のある新生児だったという記録しかない。
そんなミニヌーも、今はこうして私の『ここ』に収まって眠ってくれる。
寝室に入った後のミニヌーは絵本を読み、豆電球を消してから窓を見に行ったり、ベッドの上で足踏みしたりと1人で遊ぶ(私は黙って寝たふりをしながら待つ)。
いざ私の横に寝転がる時には、遊びに満足して眠る気になっていて天井に伸ばした手や足を眺めたり、私の手をいじったりしてから目を瞑る。だんだん呼吸やホカホカだった熱が落ち着いて、小さな身体は離れていく。
ころんと勢いよく腕から降りて大の字になったり、こちらに背中を向けるように横になったりしながらゆっくりと眠る。
はぁ、やれやれ
やっと眠ってくれた。
軽くなった腕を自分の体に寄せて、寝返りも打てずに固まっていた腰を少しストレッチして。
もう少し様子を見たら起きて何をしようか、自由時間だ。
…と、思う反面。
こうして私の『ここ』を埋めてくれるのはあとどれ位なのだろう、とも思う。
ころんと転がって離れていく背中を、きっとこれから場面を変えて沢山見ることになるんだろう。
親が子と付きっきりでいられる期間なんてあっという間だとみんな言う。私だってきちんと理解しているつもり。
眠れなくて辛かった時期も永遠に感じていたけれどこうして過ぎてしまえば一瞬なのだ。
だから、これからもミニヌーが望むなら何度だって『ここ』を空けるし、ぎゅっと抱きしめて眠るだろう。
私ができることなんて精々大人になった貴方が、深い不安や頼りない足場に怯えることがないように祈り、この愛おしさを伝えていくことしか出来ないんだから。
…と、夜毎そんな感傷に浸りつつ、
昼間は「ノンノン(ダメ)なこと」とわかっていながらわざとそれをすることが増えてきたミニヌー相手に
明るく楽しい日々を過ごしていけるよう四苦八苦している私の思いの丈でした。
2024/11月 母業1年6ヶ月目