乗馬の安全性
15時過ぎから雪というかみぞれというか、嵐のように吹き荒れてうっすら白くなった。今日は早朝からの会議のため、乗馬はお休み。一歩も外に出ていない、というか出る必要がなくてラッキーだった。
安全第一
先ごろ、乗馬の安全性に関する会話をしていて、何もかもが安全第一の時代なんだな、と感じた。特にお客さんを乗せての乗馬となると、事故があってはならない、と考えるのが自然、当然、常識なのだろう。
かつては...
北杜夫の『マンボウの素人乗馬読本』を読んだ時、医学生の時に軽井沢で乗馬をしていた話がとても面白かったと記憶している。
当時、軽井沢には貸馬というのがあって、今の星野リゾートエリアからJRの軽井沢駅付近まで(今でも車で15分以上かかる距離だ)を馬を借りて自由に一人で乗ることができたという。乗れるか乗れないかにかかわらず、貸してくれたようで、もし落馬しても馬は帰巣本能で勝手に貸主の元へと帰って行く。そんな話が確かあって、度肝を抜かれた。おそらくだが、ヘルメットもプロテクターも着用しなかったのではないかと思う。自己責任で乗るその話は、文章が面白いからでもあるけれど、読んでいて、できることなら私もやってみたいと思わせる、魅力というか危険と隣り合わせのスリルに溢れていた。
余談だが、軽井沢に新幹線で来て自転車を借りる観光客、特に中国人観光客がたくさんいて、貸自転車屋がいっぱいあるが、元は貸馬屋だったところもあるそうだ。時代に合わせて業態変更したということだ(が、タイムラグがあるから、その間、何をしてたんだろう?)。
乗馬ポッドキャスト
こちらの記事で紹介されているMary Wanlessのポッドキャストを最近聴いている。
素朴な疑問
その中で、総合馬術の有名な選手、Lucinda Greenにクロスカントリーの障害に向かうとき、頭の中に考える余裕(Brain space)がどれくらいあるかを訊ねる話が出てくる。1-10で表現してもらうのだが、Lucinda Greenは馬や自分に改善の余地があることを(つまり、もっと上手くできるはずと)考えて9と答える。その9が何かの理由でそれ以下に下がることがあるかとさらに質問すると、いや、ない、と答える。普通の人は常歩なら9あっても、速歩なら6、駈歩なら2になったりする、Beagle Bay(Lucinda Greenが6回、6頭の異なる馬で優勝したコース)の障害ともなれば、Brain spaceがなくなると説明すると、「じゃあ何で飛ぶの?」と言う。吹き出してしまった。
さじ加減
怖いと思うレベルは十人十色。他の人から見れば、ただ危ない、安全ではないと思うことでも、それが楽しい挑戦だったり、ワクワクする高揚感だったり、前人未到の偉業になったりする。
安全面を入念に考えることはもちろん大切なのだけど、万人に安全となるとつまらなくなるし、100人来て100人全員を同じように喜ばせることは不可能だと思う。ディズニーランドのスペースマウンテンには何箇所かChickin Exitがあったと思う。怖くなった人、自信がない人はここで諦めて出られますよ、と言うわけ。他の乗り物で楽しめば良いわけだ。
乗る側
とは言え、安全は大事だ。一人で乗馬をする私はそこを自分で何とかしなければならない。これまでそれはスキルであり、経験だと考えていたが、Mary Wanlessによれば、Brain space、頭に考える余裕があることが重要。パニックにならずに、自分が何をやろうとし、実際何をしているか、バランスは崩れてないか、姿勢は保たれているか、馬のバランスやスピードはどうか、と客観的かつ冷静に色々と考える余裕、スペースを少しでも広げて行くのだ。彼女のいうところの安心してできること(Comfort zone)から少しずつ挑戦して(Stretch zone)、何が何だかわからない状況(Panic zone)を排除する。ここを私も意識してみようと思う。それが安全に繋がるのだと思うから。