『猫の秘密』 #はじまりのはじまり
猫の学校の 授業が はじまった。
先生が
「今日は、秘密についてです。
秘密というのは、誰にも話さないでお腹の中にしまってあることです。
今日は、その秘密を、そっと打ち明ける 練習をしてみましょう。」
、、、練習するの? なんでだろう?
すると、先生は
「秘密を お腹の中に 持ち続けていると、
お腹の中が 秘密で一杯に なってしまうので、
時々、外に出して あげないと いけませんよ。
みんなも、お腹に なめた毛が 溜まると 苦しくなるので、
吐く練習をしましたね、あれと、同じです」
そっか、秘密は 吐き出す 練習が 必要なのか。。。
僕には、秘密がある。。。
でも、それを言っても、誰も 信じてはくれないよ、、、
僕は、もじもじ、もじもじ、、、していた。
すると、隣にいた、どら吉が、手をあげた。
「俺の秘密は、かあちゃんが 寝ている間に、
かあちゃんの ひげを 一本抜きました!」
「あらあら、それは、いけませんね。」
と、先生は 笑って 言った。
「は~い」と、
どら吉は、後ろ足で 頭の毛を はたきながら
嬉しそうに 照れて 言った。
どら吉が、発表すると、次から次へと、
秘密というより 自慢のような
話がポンポンと 飛び出した。。。
すると、しずかちゃんが、ちいさな声で
「私は、お腹に、秘密のドアをもってます」と、言った。
どら吉が、すぐに
「そんなの嘘だ!!!」っと言った。
どら吉は、しずかちゃんが大好き、
でも、思わず 大声を だしてしまった。
「ごめん。。。ちょっと、びっくりしたからさぁ、、、」
先生が、
「しずかちゃんのドアは、どこに通じるの?」
「あのね、ドアを 開けると、草原が あるの、
そこにはね、死んじゃった お父さんと お母さんが いるの
そこにはね お日様が ぽかぽか ふりそそいで、、、、」
しずかちゃんの目から 涙が ぽろぽろ とこぼれだした。。。
「ぼっ、ぼく、僕も、同じです!」
僕は 思わず 声を 出した。
どら吉が、
「お前なんかが、しずかちゃんと 同じはず ないだろう!」
と むきになった。
「ぼっ ぼく は
おっ お お おなかに
き、きっ 金色の野原を 持っている。。。」
皆は シーンとした。
何故なら みんな 僕の声を 聞くのは めったにないからだ。
僕は 吃音で めったに しゃべらない。
僕は 授業中 さされても こたえない。
僕は 秘密を 打ち明けたかったが、、、
声のかわりに 涙が ポロポロと こぼれた。
すると しずかちゃんが
「お母さんは そこに
ナウシカが 見えると 言っていた。
金色の野原 を 保つ コツは、
晴れた日 には
しっかり お日様を浴びて、
ひかりの充電をすること。
それが 一番 大事です。 」 と 言った。
僕は 驚いた。
しずかちゃんも 同じ 秘密を 知っている!
僕は 手が ぶるぶる 震えて
足が がくがくして、、、
涙が ぽたぽた おちて
だらだら 鼻水が 落ちた、、、
すると
しずかちゃんが 近づいて 僕の右の 頬を ペロンと なめて
先生は 僕の左の 頬を ペロンと なめて
どら吉が のそのそと来て 僕の額に 自分の鼻を コツンとつけた。
そのうち クラスのみんなが 静かに そばに 寄ってきて、、、
体を スルッと こすりつけたり
頭を コツンと ぶつけてきたり、、、
僕は どもり だから 話をするのは
いつも 母さん と だけだった。
僕は 冷え性 だから 夜寝る時は
いつも 母さんの お腹で 足を 温めた。
母さんは、ちょっと、前に 突然 起き上がらなく なった。
きっと 食べたものに なにか 入っていたのかも しれない。。。
野良猫が 増えたので 人間が 食べ物に 毒を入れているらしい。
だんだんと、、、
母さんは 息が 細くなって 目が 開かなくなって、、、
それでも 僕と 話してくれた
ゆっくりと ぼくと 同じく どもりながら、、、
“あなたは お腹に金色の野原を 持っているのよ。
そこに ナウシカが 見えるのよ。
金色の野原を保つコツは、 晴れた日には しっかりお日様を 浴びて、
光の充電をすること。 それが一番大事。 ”
僕は 母さんが 言ったように
晴れた日は 太陽に 足を向けて お腹をむけて
目を つぶって 息をすうんだ
すると
足から お腹から 風が 舞い込むんだ
そうするとね
現れるんだよ ナウシカが
黄金の草原の中で 風に吹かれて
とっても きれいなんだよ
あのね 秘密なんだけど ナウシカは 僕の 母さんなんだ!
これが 僕の秘密
そして 秘密は 人に話したら 秘密じゃなくなるって
とっても とっても あまい 蜂蜜になるって
「ミツバチじいさん」から 聞いたんだ。
これは 新しい 僕の秘密。
母さんに いつか 新しい秘密 教えてあげたいな。
おしまい。