わたしがあなたをみているよ。
久しぶりに飛行機に乗りました。
窓から見える雲の上の世界。夕日の美しさ。綿帽子を被った富士山。キラキラ光り広がる夜景。ずっと窓にへばりつき。。。
パシフィコ横浜で開催された児童虐待防止学会の学術集会。
2014年川口市で起こった祖父母強殺事件の取材を元に「少年事件からあぶり出された社会の責任」と題した山寺香さんの特別講演を聴講しました。
当時17才だった少年。幼少期からの被虐待体験。小5から知らない男性に預けられたり、学校に行けなくなり、ラブホテルに夜8時にチェックイン朝11時にチェックアウトする生活を2年も繰り返し、お金がない時には、公園で野宿。
児童相談所や行政も何度か関わりかけたけれど、夜逃げのように居なくなることを繰り返した少年と母親と義理父、赤ちゃんだった妹。
「誰もボクを見ていない」そう山寺さんに少年は語った。
山寺さんはこれをタイトルで本を出されています。また、長澤まさみさん主演でこの少年の母親を主人公にして作られたのが『MOTHER マザー』という映画です。
母親に「見捨てられる」のではと少年は不安を抱え、「母親なしでは生きられない」と感じていた。そんな中母親から「金がないのはあんたのせい。ばあちゃん殺せば金が入るよね」と言われ・・・。
今回の講演の中で、山寺さんが「『生きている意味がない』と少年は語った。生きている価値を私達大人が作れているのか」と話された時、私ははっとさせられました。
上手くいかないことがあったり、どうしようもないことがあったり。そんな時ついつい、社会や世の中のせいにしている自分。
あぁ。
それを作っている1人がわたし。
それを変えることがでるのも、このわたし。
何とかしなくちゃいけないのも、このわたし。
どこかの誰かの特異な人生ではなく、わたし達が作っているこの世の中の延長線上にいるこの少年。
今回の学術集会かながわ大会のスローガン『誰ひとり取り残さない~思いをカタチに~』
私に出来ることはちっちゃなことだけど。
ちっちゃなことから社会は変わっていくと信じて。
次の日、昨年度コロナ禍で助成金をいただき無料で開催してきたオンラインペアトレ講座について口頭発表をしてきました。
何が起こるか分からない現代、どんな困難も切り拓いて未来を創っていく力を子ども達に育んでいく為に大切な『主体性』
その土台を作るには、まずは親自身が『子育ての主体性』を育んでいく体験が大切。その体験の場作りについて考察し口頭発表でお話させていただきました。
帰りの飛行機。行ったこともない東京ディズニーランドの上空。ちいちゃな花火の輪っかが広がる!!
「あぁ何て幸せなんだ!ラッキーなんだ!」
この小さな『ラッキー(だと感じる)』や、『幸せ(だと感じる)』の積み重ねが「生きる意味」「生きる価値」なのかなぁとぼんやり川口市の少年の話を思い出す。
沢山のことを考えさせられた学会での学び。
またこの学べること自体も幸せだと噛みしめながら。。。
花火が消えるのを見とどけた。