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愛おしい未完成

私は大学の非常勤講師のお仕事もしています。
今年も9月から後期の授業が始まりました。
「今年の学生さん達はどんな子ども達なんだろう」と、毎年楽しみで、ドキドキわくわく。

特に今年度は、とうとううちの息子くんと同級生の年代に。
学生さん達がより一層愛おしく感じる。

今日のお題は、発達段階「思春期」から彼らが真っ只中の「青年期」のこころの発達について。
『自分らしさ』を探しながらアイデンティティを形成していく。
友達や学校やバイト先などで出会った人達を通して『自分らしさ』や自分にとって何が大切なのかに気付いていく。
色々な場面で人と出会い、様々な経験をして。
色々な光景を見て聴いて感じて、自分の好きなことや興味のあることを見つけていく。

自分の前にどんどん広がっていく世界には、楽しい反面戸惑いも。
自由には責任もついてくる。
まだ社会から加護される子どものままで居たい気持ちと、しっかり自分の足で歩を進めていきたい社会に飛び立ちたい気持ちに揺れ動く。

彼らは日々おもう・・・。
日々そんな葛藤の数々に、意識せずとも投げ出したくなり無気力になる日だってある。

そんな自身の戸惑いを授業で語ってくれた。
「悩んでたっていいんだと。みんなも同じだと思うと気持ちが楽になりました」
「まだ自分も手遅れではない。変われるんだと思えた」
まだ未完成なアイデンティティの彼らが、とても愛おしく感じる。

みんなの話しを聴きながら、ふと大学時代に出会った私の親友のことを思い出す。。。

子どもの頃、虐待や家庭内暴力など。あまり良い環境とはいえない状況で育ってきた私。
顔色や人間関係、周囲の状況に合わせること。
それが過酷な環境で生き残る為の私の「術」だった。
周りばかりを優先してきた私は、いつしか自分の『スキ』を素直に表現することが苦手になっていた。

家族と離れて一人暮らしをはじめた大学時代に彼女と出会った。
彼女はどこでも『スキ』な歌を口ずさんだ。
「食べたい!」と思ったお菓子でもヨーグルトすら買ってすぐに食べながら歩いたし。一緒にご飯を食べに行っても、彼女は真っ先に好物からほおばった。
彼女の服装や持ち物には彼女の『スキ』が詰まっていておしゃれだった。

何より「かずこちゃん!」と私に会うととても嬉しそうにしてくれた。
(これは今でも変わらない。笑顔満開で近づいてきてくれる。)

バイバイの時には人一倍寂しそうな泣きそうな顔にもなった。
(これも今でも変わらずに、彼女の顔は暗くなる。)

純粋で素直ないつも変わらない彼女の態度は、いつも私に安心感を与えてくれた。

私も少しづつじょじょに。じょじょに。
歌いたい時に鼻歌が歌えるようになっていった。
私も少しづつじょじょに。じょじょに。
『スキ』なものを『スキ』と言えるようになっていった。

大好きな人に「大好きだ」と伝えられるようになっていったし、苦手な人とは巻き込まれずに距離をとれるようになっていった。

彼女を鏡に、私は自分の『スキ』がたくさん発見できた。
今でも彼女の言葉(「かずこちゃんて○○だね」)から、『自分らしさ』をたくさん見つけられている。

アイデンティティの形成
「良いところも悪いところも全部ひっくるめて、わたしはわたし。それもなかなかいいもんだ!」

授業を通して学生さんが『自分らしさ』みつけを楽しんでもらえたらいいな。
授業丸ごとは難しくても、1つでも2つでも『自分事』に考えられて「何でなんだろう??」と一端立ち止まって考えられたり面白がれる、そんな授業が作れるように。
一期一会ならぬ15回しか会えない彼らとの大切な時間。
アイデンティティの土台の上に、社会に出た彼らの幸せな幸せな未来がどうかどうか繋がっていきますように。。。

授業の最後。一斉にみんなのスマホが鳴った!
「一斉メール?」
「先生これ「BeReal」だよ~」

数日前の朝の番組で紹介されていた「BeReal」
彼らも利用者だったとは!!
指定時間にスマホが鳴ってその2分以内に写真を撮ってアップする???「先生も一緒に撮ろう!」
笑顔弾ける撮影大会。

今の時代を生きている彼らの熱気とエネルギーは私にも『元気』と『勇気』を与えてくれる。
今日の授業もありがとう!
今年の学生さんとの出会いにも感謝☆

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