東大卒、農家の右腕になる。
最近、経営の相談や商品化の相談、販路開拓の相談に来る人がとても増えた。
コロナ禍において人と会わないことが増えたと言われているけど、去年の私の一年を振り返った印象としては、なんかたくさんの人に会ったな。という感想が一番に来るかもしれない。
アポを取って訪ねてくる人。zoomでお話する人。なんだかんだでたくさんの方にお会いした一年。
もちろん経営の相談に乗らせていただくようなそんな段階ではまだまだないと思っているので、いつもお話しするのは私がやってきたこと。自分の考え方。経営に対する姿勢。
そんな中で、同じようにパワフルに活動している農家の女性がどうして成功しないと思いますか?そんな質問を受けたことがとても印象的だった。
なんでだろう。
私の中では何度かリブランドを繰り返していたり6次産業としていろいろなものにチャレンジしているけど、
ブランディングがうまくいっていないので、いいコンテンツはたくさん持っているけど、うまく発信できていない。
ということなのかなと思いながら眺めていたけど、そもそも収穫量を考えるとどう考えても採算ベースには乗ってこないよね。といったところ。
この本を読んで最初に目から鱗だったことが一つある。農家さんは経営の勉強をしていない人が多い。
それだ!
商品化やコンテンツを作ることを常に続けている彼女にとって決定的に欠けている部分がもしかしたら経営の勉強をしていないということかもしれない。
私も起業して最初の一年は妊婦で営業に行けない(実際には行きたいんだけど、私不在の産休をスタッフが不安がっていて営業に行かないでほしいと言われていた。ちなみに臨月に入ってからは、産んで戻るだけだからと思って、営業に歩いていた笑)から、売れていないだけで、営業に回れたら事業は軌道に乗る。という勝手な自信に満ち溢れていた。けれど、出産後も赤ちゃんを連れて営業に行くけれど、なかなか苦しい状況は続き、、何というか飛び込み営業とかは全然抵抗がないので営業に行きまくるんだけど、狭い北陸という地域だと、あそこが置くならうちは置かない。とか、あそこには営業に行かないでほしいとか。専売にさせてほしいとか。そんな話ばかりで全然広がりを見せられなかったのだ。
そんなこんなで私が行き着いた考えは、「経営の勉強をする」ということ。
そこから石川イノベーションスクールの一期生の募集に思い切って申し込み、一年間学ばせていただいた。イノベーションスクールでは経営の本質みたいなところを教えてもらうことができ、正しい考え方などが自然と身についてきたと思う。といっても基本落ちこぼれの生徒の私は、イノベーションスクールの卒業生は次の年以降の講義も全て出席しても良いという神制度をフル活用し、4年間講義には引き続き参加させてもらっているお陰で4年かけてようやくちょっとずつ身についてきた。というのが正直なところだと思う。
毎年、バックグラウンドが違うたくさんの人がちが受講してきてそのビジネスモデルを揉んでいく中で、たくさんの意見が飛び交う。マーケティングをするわけでもなく、思い立ったことをどんどん実行していく派で、感覚だけで生きている私だけど、経営に対する様々な情報はここで得られているといって間違いないと思う。
何しろ私は無所属。
経営者の人はいろんな会に所属している人が大多数かと思うんだけど、私は創業以来無所属を貫いていて、出歩くとしたらイノベーションスクールくらい。
私の経営の情報収集源の話はこのぐらいにして、、
彼女に決定的に足りていないのが経営という目線なのではないかというひとつの仮定にこの本のおかげでたどり着いたのだ。
そういった視点を持ちながら今後彼女へのアドバイスもして行けたら、元々エネルギッシュな人だから面白いことになっちゃうかもしれない。
そんなことを考えながらワクワクと読み進めた。
そしてもうひとつ、佐川さんから見た阿部さんという存在の書き記し方もとても素直で、これは社長である私に対して社員から言われているような心に留まる言葉もたくさんあった。力を貸してくれるスタッフのみんなが、どう考えどう動き、またどう動いてほしいと思っているのか。そんなことをすごくリアルなものとして書き記してあるこの本は、ぜひ、農業に携わらない経営者の方にも読んでもらいたい。
経営者が書いた本はたくさんあると思うけど右腕であるスタッフがスタッフ目線で書いた本は経営者にとっても忙しい日常の中で忘れがちがこと、優先しなければいけないことを改めて考えさせてくれる。この本は私にとって、そんな存在だった。