教育する
塾のアルバイトをやっているが、生徒の受験が近づいてきて、中には一週間後に試験を迎える子もいる。
彼らは、弱くて、脆くて、面接練習でしゃべれなくて、グループディスカッションでぼこぼこにされて、泣いてしまう。
不安と、自分への絶望が募ってしまう。
何とかしてあげたい。
助けてあげたい。
救ってあげたい。
だけど、わたしにできるのは成績を上げて、志望校に合格させてあげることだけ。
わたしは、学生の間に関わる一大人となるのだから、かっこよくて、一生懸命な姿を見せようと、必死に働いている。
やっぱり、そういう姿を見て自信を持ったり、憧れを持ったりして、将来が決まっていく。
せっかくそういう時期に関わるんだから、かっけえ先生になりたい。
そう思ってやってほしいこと、こうすべきだと思うこと、いろいろ言う。
でも、やっぱり目の前で泣かれると、キツイ。
抱きしめて、肩貸してあげて、背中精一杯さすって、試験場にも行ってやりたい。
だけど、できない。
そこまで生徒に移入する自信がない。
責任が持てない。
悲しい。
そんな弱気で自暴自棄な自分が悲しい。
強くなりたい。
はやく、大人になりたい。