インティメート・ボランティア 13

ミヤケの精力は少しずつ強くなるようで、今まで、志穂が介助するように交じわっていたのに、近ごろはミヤケの方から積極的にときどき動いたりする。さすがに、終わったあとは、ぐったりとしているが、ミヤケは、ちょっと前と比べものにならないように、顔色がよくなった。

性欲は人を元気にさせる働きがあるようだ。

驚いたことに、ミヤケは志穂にアダルトビデオを買ってきてくれないかと、数回頼み、志穂は、なるべく目立たないように他のものを入り交えて買ってきたりしてやった。

しかし、親密な関係を持っているに関わらず、ミヤケと交わす会話は、少なかった。特に交わして盛り上がる話題もなかった。また、会社の愚痴などもいわなかった。

ミヤケに対しては、女神のような立場でいたかった。それに加え、ミヤケの自分と似た、不器用さがときおり愛おしく思え、必要以上の心配をかけたくなかった。

ミヤケは、志穂に子供のように甘え、それは志穂に甘やかな感傷をもたらした。自分の母性をくすぐられるような感じだった。

ある日、志穂はミヤケのパジャマを直しながら、何気なくいった。

「ミヤケさん、わたし、そろそろ結婚しようかなと思っているんですよ。そしたら、もうこちらには、来られなくなっちゃいますね」

志穂の言葉を聞くやいなや、イヤイヤをするようにミヤケは首を横にふり、「そんなのは嫌だ」と、おもちゃをだれかにとられた子供のようにいった。志穂は、はっとして、結婚しようかなといっても、まあ、相手はまだ、いないですから直ぐっていうわけじゃないですよ、とつけ加えた。

志穂の言葉で、ホッとした表情にミヤケはなり、先ほどの性交からの疲れもあるせいか、眠たそうな顔になった。

まだ、結婚を申し込まれたわけじゃないから、ミヤケにいうのは、早すぎたと反省して、志穂はアパートを出た。

もし、自分がボランティアに来られなくなるとミヤケはどうするのだろうかと志穂は思った。世間では、ボランティアをする人は多いだろうが、自分と同じ行いをするものはいないだろう、と思うとせっかく元気になってきたミヤケがちょっと気の毒になった。

そうはいっても一生ミヤケの相手はできない。





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