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インティメート・ボランティア

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親切心ではじめたボランティアが、いつの間にか自分の空虚の穴をうめるものになっていた。
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#退職

インティメート・ボランティア 22

「短い間でしたが、お世話になりました」

深深と下げた頭を上げると、志穂はさっと沙紀の顔を盗み見た。

先ほど、上司の川崎が、志穂の寿退社の説明を同僚にした。志穂の言葉に従順に、お相手は、元テレビ局のプロデューサーで、現在は実業家として活躍されている方だそうです、と紹介した。

志穂は、沙紀の顔が一瞬歪んだのを見逃さなかった。ミーハーな沙紀にとっては、羨ましい相手に聞こえたに違いない。志穂は、見切

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