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インティメート・ボランティア

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親切心ではじめたボランティアが、いつの間にか自分の空虚の穴をうめるものになっていた。
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インティメート・ボランティア 11

「だって、だれでも快楽を得るのは、嫌いじゃないでしょう」

志穂はいいながら、自分の顔が不自然に引きつったように感じた。星野から、ミヤケとの関係を見透かされたように思えた。

ミヤケを元気にしてあげようとしていたことが、自分が反対にミヤケを快楽の道具として使っているのだろうか。快楽を得るようなセックスではないが、確かに、ミヤケを満足させることによって、志穂は自分が女神になったような恍惚感を覚えてい

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インティメート・ボランティア 9

出社して、自分のデスクに着くと、A4サイズの封筒が志穂の机にあった。中身を取り出すと、アイシャドーのカラーサンプルが入っていて、殴り書きをした付箋が貼り付けてあった。

付箋には、「きょう来るときに、この封筒を持参してきてください」というメッセージが書かれていた。派遣先の上司、沙紀の名前が最後にあった。

午後から志穂は、所属しているグループのモニターとして、新製品のメークモデルを頼まれていた。急

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