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悲しき熱帯魚(小説)

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人魚姫をベースにしたせつない話です。
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#運命の人

悲しき熱帯魚 2章

 男の名は、井沢龍太郎といった。家が裕福な商いを行っていたので、金には幼いころから不自由したことがなかった。仲間に連れられて、早い時期から遊郭通いをするようになった。

 財力があるだけでなく龍太郎は、いつも流行の柄をぞろりと着流しており、歌舞伎役者なら必ず看板役者になれるぐらいの人の目を引くような男前だった。すっきりとした鼻筋に切れ長の目。龍太郎が通ると、振り返る女たちは多かった。

 龍太郎は

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