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心に残る上司の言葉『後工程はお客様』

ハッシュタグそのままに書いてみる。


それは『後工程はお客様』という、トヨタ式(トヨタ生産方式)の言葉である。おそらく20年以上前に聞いたと思う。

その上司は外部の会社から部長待遇でやって来た方だ。T部長とお呼びしよう。

当時私がいた部署は工場も兼ねており、グダグダだった生産管理を確立させるためにも外部からいらしたのだと思う。T部長は早速その『トヨタ式』を部員に説いた。
その中で最も印象に残っているのが『後工程はお客様』である。

『前工程は神様』と対ではあるが、とにかく『後工程はお客様』だけは強く残っている。


T部長はすごい方だった。
毎日部内の全員…100人近くはいたのではないだろうか、一人ひとりに名前を呼びかけ、笑顔で声を掛ける。何でもない話題でも、とにかく全員、毎日声を掛けていた。
そんなことをしている人は後にも先にもT部長だけだ。

その代わり仕事には厳しかった。
私は当時はまだペーペーだったのであまり感じなかったが、管理職の方たちはよく怒鳴られたと聞く。
けれどみな、T部長のためなら、と腐らず、グダグダだった工場内が見違えるようになった。
それはぺーぺー社員たちも同じだった。そう、部には一体感があった。

今よりコンプラだとかISMSだとかもゆるゆるだった。息苦しさもなくのびのびとやっていた時代背景も大きいかもしれないが、とはいえ。


『後工程はお客様』

以来それは染みつき、意識して仕事にあたった。
自分がボールを受け取ったらすぐに返すことは強く意識していた。自分の返答を待っている人の時間と工数を考慮すること。すぐに返せるものは決してためずに即答した。
自分が忘れないように、目に入ってすぐに出来るならその場で対処する、というスタンスも確立された。

それから10数年ほど経ったか、私がとある協力会社の方とメールのやり取りをしていた時だ。

◯◯さん(私の名前)はいつも返信が早いので、本当に助かっています

協力会社の社長でもあったその方からそうメッセージを頂いた時、とても嬉しかった。
その時「あぁ、後工程はお客様、それを大事にすると仕事はお互いに気持ちのいいものになるんだなぁ」と実感した。


時も流れ、私も若手社員に対し勉強会などを開催することもあるのだが、時折この『後工程はお客様』を伝えている。
工場でなくとも、多くの仕事は前工程と後工程に挟まれるものである。少なくとも自分の後工程にはしっかり気を配ってほしいと思うし、改めて自分もそうしていかねば、と気を引き締めていきたい。


ーー追記

思えば「クリアデスク・クリアスクリーン」もこのT部長が徹底したことで、当時からパソコンのデスクトップはせいぜい4~5個のショートカットがあるくらいになった。ショートカットだらけのデスクトップを見かけるとムムムってなる。
スマホもアプリはカテゴリごとにまとめて、なるべく画面をスッキリさせたがり、すっかり習慣化された。


#心に残る上司の言葉

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