蘭は珮後の香を薫す
千葉市でアロマスクール「マロウズハウス香りの教室」代表のアラカン(笑)の太田です。現在の仕事は緩和病棟でのアロマセラピストとしての活動やじゃらん旅アロマでのブレンドデザイナーのお仕事、そしてアロマテラピーインストラクターとしても日々レッスンを担当していています。
それからなぁんとアラカンにして、先日フレグランスセールススペシャリスト資格にチャレンジ。そして、ありがたいことにこの年齢でもやっていいよ。ということになり、今後は香水についてもいろいろできたらな、と70代の香水売りを目指して修行中(笑)
フレグランス協会の先生方、素敵な世界を教えてくださり本当にありがとうございました。
おーた、アラカンからの加齢臭をいかに良き香りに変身されるかっていう命題の答えを求めて香水と共にアロマでも、60才からでもいい雰囲気を醸せないかって深刻、いえ、真剣に取り組もうと足掻いています(笑)
今回のじゃらん旅アロマのお話。昨年までの10月のキンモクセイのお話から一歩進めたものをご紹介。
https://mallowshouse.com/
蘭は珮後の香を薫すに至るまでが長いので、、、ちょっとお待ちを(笑)
令和の言葉の元になった万葉集。このアララギ(蘭)にまつわる源氏物語のかおり遊びのお話とブレンドデザインのための香りの展開ですが
今回はそこに至るネタバレ話しを深く、深ーくお届けします。
10月のオスマンサスにつながる話は今年のおーたの中のトレンド。
今、イチ押しの神様でもあり、今月もテーマをオマージュした上にブレンドのインスピレーションの糧とさせていただいているジャン・クロード・エレナ様の「オスマンサス・ユンナン」
どうして彼の香水が好きになっちゃったのかも今回は熱く語らせていただき、そして彼の作品を憧憬しつつも、源氏物語のお話につながっちゃったところについてもネタバレしますので、最後まで読んでいただけたら嬉しいです。その上で、じゃらん旅アロマでいつもご紹介しているその香りにあう季節のお菓子レシピや銘菓についてもユンナン(雲南)の金木犀をイメージしたレシピもこちらにご紹介しますので、今回もお酒好きな方はぜひ覗いてみてくださいね。
ということで
2024年10月のキンモクセイからの展開
天然香水もお菓子もなかなかのレシピになってしまっていると自負。
それから、その先にある
なぜ源氏物語のお話につながっちゃったのかについても
エレナ様の深掘りも含めて、オタクな物語としてお伝えしちゃいますので、とっても長いお話ですが、最後までお読みいただけたらとっても嬉しいです!
10月縛りは3年間ずっとキンモクセイ。
だから今回のブレンドは絶対ジャン・クロード・エレナ様の
オスマンサス・ウンナンと決めた
毎年10月はキンモクセイ=オスマンサス。アロマブレンドデザイナーの勉強する中で和のイメージといえば、この花の香りとクマリン、桜もちの香りのトンカ・ビーンズ。でも香水の世界ではこのトンカビーンズは違う使われ方をしているということに驚きました。ということでこのあたりは後半にお伝えするとして、今月もブレンドファクター探しのひと月。
その中で神様もオスマンサス使ってるじゃん、ということで銀座にこの香りを求めて、銀座エルメスへ行ってきました。そして、その香水をゲットするところから今月のブレンドにつながります。
「はて、なぜジャン・クロード・エレナ様を追っかけてるの?」
おーた、実は香水は苦手で今でもダメなものもある。
特に、シューッとした時のあのきつい香りがダメ。
通り過ぎたおばさまからくるきついスメルハラスメント。バスでも電車でも、特に百貨店は凄すぎ〜の汗。
だからアロマテラピーがいい
と、つい先ごろまで言っておりました。
ナチュラルでふわっと香るしその上天然の香りは体にいいらしい。そこからアロマテラピーにハマってはや35年の月日。
気がついたら資格やらなんやらかんやらでやっているうちについ、仕事にしてしまった。だから絶対フレグランスには手を出さない!と思っていたのです。ところが2016年にaeaj認定資格アロマブレンドデザイナー資格を取得するために調香師のお話を学んだときにちょっとだけその思考に変化が生じました。
やっぱりフレグランスは人工香料なんでしょ。
この人工という言葉になんの疑問も持たず、そのままアロマテラピー至上主義的になってしまったところが、実は本当の意味を知らなかったんだと感じるこの頃。
本当のナチュラルってどこにあるんだろう。それはアロマ香水と関わるようになって、成分を知るようになって段々と思考に変化がはじまっていったのでした。
衝撃を受けたのは香りを嗅いで
齢60才を超えたこの夏、ついに神様の「李氏の庭」に出会い、衝撃を受ける。エルメスの専任調香師ジャン・クロード・エレナの「李氏の庭」。9月のオマージュ香水を探すにあたって「重陽の月」をテーマにしようと考えいました。その中でこの香水との出会いとなってしまったのです。
その「嫌い」「あれ??」本当に嫌いなの?
からのふた月で30mlボトルを使い果たすまで、俗にいうハマってしまったというわけです。香水好きの方からハマる、という言葉を聞くことはありましたが、自分がそうなる?!というのが信じらせませんでした。
ですが、この自分で信じられない行動を分析してみると、李氏の庭をクンクンしていくうちにナチュラルで酸っぱい柑橘からスムーズに流れていくようなミドルノート、そしてふわっとした嫌味のないベースノートに変化するところがなんとも言えない。
神様の作品はどれも最後の消え方が素晴らしいと感じます。
香水もいいんだ。
とにかく、じゃらん旅のためにいろいろな香水をクンクンして歩いているこの2年間。当初は季節もののおすすめを店員さんにお聞きして、そこからピックアップ。その先に精油でできる落とし込みをしていきました。ジョー・マローのイングリッシュペアー&フリージア、フランシス・クルジャンのア・ラ・ローズ、その他チョコレートの香りや練り香水などなどブランドの一押し香水も手元に置いて、試す、試す、香りを試す。
でもどれもやっぱり残り香がダメ。
ところがこの夏の神・エレナ様の「李氏の庭」で世界は変わったのです。
どうしてこんなに爽やかでまるで精油を嗅いだ時のようにそのままの自然の印象が残り続けるのだろう。
香水っていうのはトップノートが優しくても、だんだん本性を表してくる。ラストノートではミルラとかパチュリとかのしょっぱくて、重々しく、だんだん鼻が嫌になっていく。体の香りも臭いに変わっていく。
やっぱり淡く消える手作り香水が一番だって信じていたのです。
こんなにもフレグランスの世界で天然を感じるブレンドがあるんだってことに感動を覚えました。
調べてみると、神様は俳句パヒューマーであったから
彼の「李氏の庭」で衝撃ってしまったおーた。
どうしてこんな処方ができるの?ってところからその彼のプロフィールを調べることに。あ、おーた、実はアロマの世界でも、散々掘ってました。ヒポクラテス、テオフラストス、そしてイブン・シーナしかり、ルネ・モーリス・ガットフォセやマルグリット・モーリーたち。
今回はフレグランスの歴史に登場する神様たちをまだまだ追及中ですが、エレナ様については現在進行形の方でもあるので試している「イケバナ」からのその先にしばらく追っかけしていこうと思っています。
ジャン・クロード・エレナを深掘る
エレナ様の調香師としての時代は三つに分かれると世界最高峰の調香師たちを抱える集団フレデリック・マルが解説している。
一つ目はブランドの指示通りにたくさんの香料を使った時代、そして
現在は二つはミニマリズム。限られた香料から作品を生み出す時代を経て、三つ目の時代が今。
エルメスの専属調香師を退社した今の彼は俳句パフューマーとして活動されているそうです。また彼の作品に出会えるのは楽しみだし、追っかけられる喜びでもあります!
使う香料が少なければ少ないほど香水が語りかけるようになるという極致の時代が今のジャン・クロード・エレナ
今の彼の作品の基本となっている感覚。まるで俳句の言葉を選ぶように、香りの5、7、5を作っていく彼のフレグランスは、アロマ好きにも似合いそう。だから、ぜひぜひ、彼の今の作品たちをフレグランスを苦手とする方々にもクンクンしていただきたい。きっと削ぎ落とした先にあるアロマテラピーを感じていただけるのでは?と思ったりするわけです。
神様も最初はエッシェンシャルオイルから
エレナの背景についても少しだけまとめてみました。
幼少の頃、彼はジャスミンを積んで調香師に売って育ったそうです。
父親からは「お前は勉強ができないからすぐに働きに出なさい」と言われ、なんと16才でグラースにある昔からあるエッセンシャルオイルを生産する工場に働きに出ていたそう。そして19才で兵役へ。その後、調香師学校へ通うようになるのですが、その頃、あのシャネルNo.5の調香師エルネスト・ボーの弟子だったソバージュを調香した伝説の調香師エドモン・ルドニツカと出会います。調香師の学校で石鹸などの香り作りに疑問を持っていた頃に出会った側から、ルドニツカは「君は石鹸臭いから、出直してくるように」と言われたそう。この出会いから彼の弟子になっていくのですが、原料についても厳しかったルドニツカの「厳選したものから処方する考え方」という教えから、原料についてもかなりこだわりがあるのだとわかります。
彼のこだわりは「ベチバーはハイチのもの」なんだそう
私自身はあまり精油にこだわりを感じなかったのですが、それでもラベンダーのカシミール産に驚いたことがありました。そこまでこだわった作品が香水になっていることの驚きと芸術性、やっぱり神様の頭の中にある風景はすごいなぁと心ときめきに繋がっていったのでした。そしてこのこだわる、ということがウンナンの金木犀につながるのです。
成分だけで構成しようとするブレンドはやめたというエレナ。
「構成する原料の配合比でハーモニーを表現しようとするのはやめた。そして、匂い同士の関係が重要だと確信するにいたったのである」
まるで精油のブレンドの深淵に向かっていくような言葉。
アロマセラピストとしての香りの企みはついつい構成成分だけの配合で作っていく癖がある。でも、ブレンドしてみるとそれじゃあダメだってことを感じたりする。そして、体にいい成分だからって嗅覚を蔑ろにする。
それは香水なら尚更だ。
この彼の言葉にはアロマテラピーに通じる大事な言葉だなと思います。
そして次の言葉に最も感動を覚えました!
「匂いは言葉であり、香水は文学である」
香りは言葉で、言葉は香りである、と神様はいう。
だから私は神様の香水に惹かれたのだ!!削がれた彼の香水の言葉はまさにアロマテラピーで感じた心地良さだった。神様はその上をいく。
ということで
ガチガチのアロマ信奉者だったおーたがもっと広い世界を知れ、と言われたこの夏に起きた奇跡のような出会い。現在のエレナ様はニッチブランド「ル クヴォン メゾン ド パルファム」の世界でまだまだ調香を続けている。
そして実はちょっとお金を使いすぎたこともあり、しばし彼のシグネチャーをゲットするには、またお金をためてチャレンジするつもり。あぁ、オタクはお金がかかりすぎる💦
なので「オスマンサス・ユンナン」
彼は香りを組み立てるときに物語を作る。
オスマンサス=キンモクセイの里、雲南にて。
「北京の故宮を訪れた時、どこからともなく漂ってくる魅惑的な香りに導かれた。その故宮を奥に進んで行くと、そこには満開のオスマンサスが目の前に。11月に咲くオレンジ色の花は小さな外見とは違い芳醇なアプリコットの香りのようでフリージアのような香り」
彼のこの作品は雲南(ウンナン、ユンナン)省のお茶に香りのイメージが重なってこのフレグランスが生まれたそうです。
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