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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
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巳年始めは赤い糸で結んだ紙香で遊ぶ

明けましておめでとうございます!
今年も引き続きアロマな香りの生活をお読みいただけたら嬉しく思っています。ということで、いつもながらの自己紹介から!

千葉市でアロマスクール「マロウズハウス香りの教室」代表のアラカン(笑)の太田です。昨年取得したフレグランスセールススペシャリストとして、現在70才の香水売りを目指して日々クンクン修行に励んでおります。そんな夢実現のため、現在のお仕事も鋭意努力中!アロマ講師のレッスン、月1の日曜日の源氏物語を元にした香り遊びなじゃらん旅の担当。そしてアロマブレンドデザイナーとしてのお仕事やら緩和病棟でのアロマセラピストとしての活動を引き続き行なっています。

2025年最初は紙香作りにハマっちゃいそうです
今回のテーマは「巳年」ということと毎年1月は『梅』がテーマ
源氏物語だと「梅枝」が有名どころだと思いますが、、このお話については、すでに昨年の1月にやってしまった、ので、今回のお正月の旅アロマのテーマは梅枝にも絡んできますが、その前のお話。
紫の上と明石の君との間のやり取り『初音』をテーマにしてみました。
「初音」という言葉はあの初音ミクでも登場した言葉。
つまり、はじめての〇〇というのが初という意味でもあるので、光源氏にとってはじめての娘というところに繋がって行くお話です。
そして今回はあんまり深読みテーマではなく、単純にこのはじめての娘への「気持ち」そのままに精油ブレンドをしてみました。今回のお話もいろいろ精油ブレンドのネタバレしております(笑)

あ、このお話を見て、やってみたいなという方のために、ちょこっとだけ参加についてご連絡です。
じゃらん旅アロマは教室で第2日曜日に実施しています。
体験は1時間で、1日に4回。各講座は四人まで。費用は4,400円となります。内容は、月毎のテーマにまつわる源氏物語(かおり当て)そして、テーマに合わせたお菓子と香り作りをお届けしています。
申し込みは「じゃらん・マロウズハウス香りの教室」で検索してみてください🎵ぜひ、香りで遊んでください〜💕
それでは今日のお話へ、、、

総領娘って言葉を知った時から初音の物語が始まってた
まだ娘が10ヶ月くらいの頃、ぐずりはじめた車両の中でコソコソと服をかけながらおっぱいをあげて、なんとか寝てくれ!と思った時のことでした。この日、どうしても実家の横浜に行く用事があり、親子二人で蘇我から横浜直通の総武線のグリーン車だったら、なんとか迷惑をかけないだろうなど思っていたのですが、やっぱりどうしても、おっぱい時期の子どもとの移動はイライラの連続。そんな時に、後ろに座ったおばさんから優しく声をかけられました。どうやら千葉から都内に行商しているとのこと、大きな荷物がわきに置いてあり、こんなに大量にどうやって持って行くのだろうってびっくりしたのを覚えています。
少しすると娘の機嫌が直り、ほっとしていたところで
「総領娘さんかい?」
「うちでとれたみかん、食べたらいいよ」
そういうと後ろのおばさんはオレンジ色でツヤツヤなみかんを娘に渡してくれました。
「これ食べると大きくなるよ」

その時、総領娘って意味がよくわからず
「ありがとうございます」とだけ伝えて、記憶の沼底へ(笑)
男子は特別な呼び名があるけど、娘にそんな特別感を感じる言葉があるってことを知ったのはその時がはじめてでした。

源氏の世界では女子は特別な存在
今までもそうでしたが、玉鬘をなんとかゲットした源氏。そのライバルの頭中将は田舎で見つけた我が娘がワイルドすぎてどうしようもなかったけど、なんとか娘をゲットしたいと躍起になったこと、などを踏まえると。
この時代は通い婚で、妻の家の力で権力が成り立ってた女系優位な法則の頃。となれば、この時代の娘をいかに力のあるところへ押し上げるか、というのは当然の考え方です。
初音の段で、産みの母「明石の君」がどうしてこんなに娘に会えないのかっていうのもここに思いがあるからなんだということがわかります。

「初音」 の香りは1ゼラニウム 2、4ゆず 3、5がパチュリでした

初音にまつわるお話
というわけで、今の時代にも登場する初音
実は初音ミクのお話からのご紹介をしたいと思います。
初音ミクがこの世に登場したのは、2007年。
入力された歌詞とメロディーを歌う「ソフトウェア」の名前につけたれたもので、名前の由来がはじめての音。実はおーたも娘のソフトを見て、これ作れるかなぁって入れてみたことがありました😅でも結局はできずにdone。
とはいえ、その初音ミクのおかげもあって、米津様とかソフトの世界の音楽とか、すごい時代がやってくるのだけど、入力された言葉と音がつながる最初の頃のお話もすっごい興味深いことがいっぱい。
あの頃の日本で起きた初音が今の音楽に繋がる世界観が始まったとなれば、この初音って言葉にはすごい力があるんだなぁ。

このパワーワード「初音」は誰が産んだの?
というわけで、「初音」って言葉を最初に使ったのはどうやら、やっぱり源氏物語。この言葉が登場したのが玉鬘十帖。
ここの物語に初音という文字が伝わっています。
そしてこの初音という言葉は、産みの母である明石の君が紫の上に育てられている娘の明石の姫君に送った歌から

年月を 松にひかれて 経る人に 今日鶯の 初音 聞かせよ

先ほども書いたように、当時は身分の高い妻に子どもを託すことが親としては子どもの幸せ、と考えていたので地方長官の子で身分が低い明石の君は娘(明石の姫)を3歳で紫の上の養女にしました。それきりなかなか会うことができません。そして、やっと手紙をもらえるのが、明石の姫が8才になった正月。源氏は36才となり、かなり権力を手中にしていた時で、お屋敷には四季の町があり、それぞれに妻となる人が住んでいました。春には紫の上と明石の姫。冬に明石の君、、という具合です。物語の中で、このお正月に源氏がそれぞれの町を訪ねていく件で、春の町で紫の上と和歌を交わし、その足で明石の姫の部屋を訪ねると、姫の元に冬の町で暮らす実母・明石の君から新年の贈り物が届いていました。その特別な贈り物には松に留まるウグイスの置物があって、その松に結びつけられた和歌に「初音」が登場するのです

「初音」の最初の登場は「聞かせよ」
こんなに愛しい子どもの声さえ聞くことを控えてきた明石の君。聞かせよってお正月に娘にお手紙するってどんだけ寂しい気持ちだろうなぁって。
この初音の呪縛があって、今の初音ミクに繋がるとしたら「初音」にはそもそも「聞かせてやる」のではなくて「聞かせて」っていう気持ちの折があるような気がする。
作り手が聞かせてやるのではなくて、こちらから「聞かせて」
そこが初音ミクの始まりだとしたら、人が聞きたいからソフトが聞かせてくれた世界が「今」なのかもしれないと思ったりです(←勝手な考察😅)
で、明石のお母さんに対して娘が送った和歌は、、、

ひきわかれ 年は経れども 鶯の巣だちし松の根をわすれめや
そして
娘からのお手紙も紹介しておきます。
そう、明石の姫君からはお母さんのこと忘れてないよ、なのです。
ここで源氏は娘は可愛らしいお返事書いたって微笑むのですが、、、。それでいいの?!って思っちゃう。この後東宮妃になる明石の姫。
この時代の常識っていうの、そんなふうに生みの親は簡単に娘に会うことが叶わなかったのですね。
という和歌から始まったとされる「初音」という言葉ですが、
次に登場するのが、江戸時代徳川3代将軍・家光の長女「千代姫」に話はうつります。実は千代姫も尾張徳川家の2代目光友に2歳半でお嫁入りしたお姫様。まるで明石の姫のような境遇です。戦乱のない徳川時代は藤原と同じように、縁戚関係で結ばれることで盤石にして行ったのだと思います。江戸時代のお姫様たちは、この源氏物語を教科書にして育ったのですから、千代姫も明石の姫のように産みの親の心情については少し希薄な感じもあるのかもしれないと思ったりです。

千代姫の「初音の調度」
名古屋市東区にある徳川美術館が所蔵する千代姫の婚礼道具は「初音の調度」と呼ばれていて、それはそれは歴史的にも芸術的にも高い価値を持つことから国宝に指定されているそうです。
嫁いだ後も将軍家の一員として大切にされ、尾張徳川家の江戸屋敷には千代姫専用の屋敷も建てられるほど。別格に大事にされた千代姫。子どもにも恵まれて62歳で亡くなるまでとても幸せに暮らしたということが伝わってきています。

幸せな総領娘にあやかる香りを新年に結ぶ
千代姫が嫁入りする時に持参した調度品を作ったのが室町時代以来の蒔絵師である幸阿弥家10代の長重。その箱などに描かれたのが「初音」や「胡蝶」の図。
ということで
産みの母の心情はさておき、初音という言葉は、千代姫の幸せにあやかり、明石の姫の幸せにもあやかる、「あやかり」にぴったり!ということでお正月のお話となります。

ということで
巳年新年、紙を焚いて良い年を祈るための設えとなりました。

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