秋にさくら おさる。
#読書感想文 というお題でもう一本行きます。感想文という名のプレゼンを。感想文は小学校時代でこりごりなんだ。
読まずに宣伝目的でスキ押して帰るのはやめて、頑張って書いてるんだからちょっと見てやってちょうだいよ。最近多いんだそういうの。
「さるのこしかけ」
さくらももこ先生のエッセイと言えば「もものかんづめ」が一番知られているだろう。とてもとても笑えて面白く興味深い内容だ。ロングセラーも頷ける一冊。無限に読んでいられる。
今回は三部作の第二弾「さるのこしかけ」を紹介させて頂く。樹木に生えている、なんか椅子みたいなキノコ。内容にそこまで関係は無い。
こちらは「もものかんづめ」から更にトンチキで愉快で雑多な雰囲気だ。全体的に楽しい雰囲気のエッセイである。実際に読み終えた時の充実感が凄い。面白過ぎてぐったりする人もいるかもしれぬ。
まずはお通しのインド旅で撮られた写真たち。とってもとっても、インド(語彙力)その風土の生活のリアルを強く感じる。寝転ぶ犬が可愛い。
シメに「ゆっくり流れている」という詩。インド。カオスの全てを内包し、ただゆっくりと流れる国。さくら先生の全てを静かに見つめる目。でもインド旅日記読んだ後だと「行きたくねぇなぁ・・」という気持ちになった。実際さくら先生も帰り道にボロカス悪口をわめき散らしたというし。後年、宝石絡みでちょくちょく訪れるようになるんだよなぁ・・。
お通しを味わった後はエッセイ本編。さぁ来い!
「痔の疑いがある尻」・・おおぅ・・。水虫の話を思い出す。あの時はお茶っ葉を巻いて治したんだ。今回はどうなるの。
ジンジンと痛み始める尻。まるでジャズの特別演奏をやってくれているようではないかと気楽に構えていたら・・
ある日、演奏はベートーベンの運命に変わった。ジンジンからジャジャジャジャーンへ。悶絶。筆舌に尽くしがたき痛み。カエルのように飛び跳ねる。さくら先生の尻の結末やいかに。尻だけに(やかましいわ)
「ポール・マッカートニーに会う」
そのまんま会いに行く話。ええ、そのまんま。当時の夫が熱烈なビートルズファンであり、ちょっとした事にでも興奮し感動し涙を流す。その夫と共にコンサートに行ったりインタビューをしに行く話である。そのまんま。
インタビュー当日。きっと練習中のスタジオでインタビューするんやろなぁと気楽にニヤニヤ構えていた夫婦。普段着のよれよれのセーターにズボンといういでたちであった。しかし・・
そのまんまのさくら先生とその夫が見られるぞ。
「台風台湾」
散々な台湾旅行の話。さくらプロダクションという小さな、だけどみんな仲良しな会社ご一行と台風が織りなす、ドタバタビュービュー旅行記である。バケツに入った明らかに不衛生なジュースを飲むのはやめよう。
「インド旅行計画」「インド駆けめぐり記」
この本のメインディッシュと言っていい二本。もう計画の時点で楽しい。トンデモ台湾旅行(半分自己責任)に味を占めた出版社の方々、なるべく珍しい事が起こる国へ行って下さいよとニコニコして現れた。
色々あってインドへ行く事になり計画は進められる。凄い名前の代理店の人、名前がツボにはまるさくら先生、笑いを煽る出版社の人、作られていく代理店の人の架空家族。計画の時点でもう面白いってどういう事なの。
さぁインドへ行こう。ファーストクラスで。席は快適、出て来る料理はゴージャス、機長の用意したポートワイン・・極楽がそこにあった。もうこれで満足だよとばかりに。
デリーの立派なホテルでカレーを食べながらショーを鑑賞。インド、思ったよりきちんとしてるじゃないか。いやいや、デリーをインドだと思ってはいけない、代理店の人はそう言ってうつむいた。実際そうであった。
物乞い、牛フン、夜明け前のガンジス川の輝き。
夕日のガンジス川を不安定な浮橋を疾走しながら求めに行く。偶然出会った王様(マハラジャ)、物乞いのようにへばり付くさくら夫婦、タージ・マハルでムチを売りつけられそうになるわ、勝手に説明しておいてガイド料取られそうになるわ・・。
代理店の人は言う。「誰も信用してはいけません」と。あんたは何でこの国が好きなんだ。この後にも沢山イベントが用意されているのでここで切り上げる事とする。是非ここだけでも読んでみて欲しい。
「フケ顔の犬」
飼い犬フジについてのエピソード。生まれた時から老け顔であった。チャーハンがとても美味しそうで食べたくなる話。犬のえさだけど。
「お見合い騒動」
さくら先生の姉のお見合いエピソード。鶴太郎そっくりの男、眼鏡で神経質そうなヤサ男、特徴のない笑顔がダラリとした男、どの人がいい?母は眼鏡推し。さぁ会ってこい!気の進まぬ姉を無理やり送り出す。姉は一体どうなってしまうのか・・その目で確かめてみよう。
「いさお君がいた日々」
小学校時代の話。
とってもとっても不思議な同級生、いさお君。独特の存在感を放ち、誰にも流されない、揺るがない。やりたい事をやる。ブラジルはブラジルだ。さくら先生の中のチャンネルを回した人物である。心温まる一本。
「集英社に行く」
デビューが決まり、集英社に挨拶に行った時の話。シンカンセンスゴイカタイアイスの洗礼。犬の首輪のようなネックレス、たどり着いた「りぼん」の編集部。りぼん専属のボーイと勘違いされる「みーやん」。
お茶は何にしますか。静岡県民にそれを聞くか。お茶と言えばお茶だろう。お茶と言いましてもコーヒーとかジュースとか・・じゃあジュースで。アメリカンのダブルって何だ。
プロの生原稿にため息。やっと口を開く編集長ゴッド・ワタナベ。その第一声は・・やがてこの縁はイタコがノストラダムスを呼んでも予言出来ぬものへと進化する。みーやん・・。
この他にも楽しい話が沢山入っている。必見。
人生、一度は読んでみて欲しい一冊。どこかが引っ掛かって忘れられなくなる事請け合いだ。それくらいの力がこのエッセイにはある。
お付き合いいただきありがとうございました。
楽しい本の紹介は、こっちまで楽しくなりますね。傍らに置いた本にエネルギーを分けてもらいながら書き進められました。
最後に、
私のスタンプより、さくら先生のエッセイ買って下さい!
スタンプ買って下さったらもっと嬉しいけど!泣くけど!