ヌーディストビーチは楽しい
(10)月子さんとノブちゃんへ
ヌーディストビーチでスッポンポンになるなり、トーマスがサンオイルをバッグから取り出し、自分の顔や肩や背中に塗ってくれます。その手は自分の下半身へと徐々に向かい、へそから下へ、通常は非公開な部分にまで及びます。そこにサンオイルが塗られるのは初体験、くすぐったいやら、恥ずかしいやら、自分の意思では制御不能に陥り、段々と固く、大きくなりつつあります。
自分はトーマスの手を制止し、彼からサンオイルを取り上げ、彼の背中に塗り始めます。すると今度は彼がくすぐったいようで、クスクスと笑います。彼の背中は実に白く、緩やかな逆三角形が綺麗な曲線を描き、筋肉は厚く肌は滑らか、自分はサンオイルを塗るというより、マッサージするように手を動かし続けます。背中から尻へと下り、そこからくるぶしにまでサンオイルを塗ります。それから彼をくるりと回転させ、今後は胸と乳首からへそへ、そしてゆっくりと彼の股間へと向かいます。
トーマスは自分より背が高く、肉厚で立派な体格をしています。とはいえ、全身がすごくもちもちと柔らく、手からその柔軟さが伝わってきます。それはとびっきり美味しいビーフステーキの上にとろけるバターのような柔らかさで、バターとステーキの香ばしい匂いまでしてくるようです。
それに彼の最も男性的な部分は自分よりも立派ですが、とても柔らかい。彼を食べられたらどんなに美味しいだろうと、自分の内側がうずき出します。自分のハートの色がピンクから徐々にロゼ色へと変わり、ためらうやら、びっくりするやら、どうしていいのか戸惑ってしまいました。
互いにサンオイルを全身に塗ると、彼は堂々と仰向けになり、天に向かって全身を一般公開。まだまだ解放されていない自分はうつ伏せになり、さんさんと降り注ぐ太陽に身をさらけ出します。しばらくして、その暑さに耐えられなくなると、海に飛び込み裸で泳ぎます。
透明な海は遠浅で、太陽の仕業で海水はぬるま湯のように感じますが、少し沖に出ると水はひんやりとしていて、焼けた肌を癒してくれます。人生で初めての全裸スイミング、全身が水にやさしく包まれ、波に身を任せ、波に抱かれるような開放感が爽快でたまりません。
ビーチをさまよう他のヌーディストたちに目をやると、明らかにゲイやレズビアンのカップルがいます。女性二人で仲良く手をつないで、無邪気にビーチを歩いていたり、浅瀬の浜辺に寝転がったり、押しては寄せる白い波と戯れています。
あるゲイカップルは、二人でボール遊びをしています。ラバーの付いていない丸い卓球のラケットのような板で、ゴム玉を二人で弾き返しています。コ〜ン、コ〜ン、コ〜ンという板を叩くリズムカルな音がビーチに響きます。その音と共に二人の股間のものがブラブラと揺れています。
自分たちも他の人から見れば、ゲイカップルだと思われたに違いありません。アジア人と白人のカップル、いや「年齢差ゲイカップル」か「年齢差グローバルゲイカップル」かもしれません。
そんなことを妄想しているうちに、自分の脳裏をふと横切ったのは、なぜトーマスが自分をこのヌーディストビーチに連れてきたのかということです。彼はヌーディストビーチ愛好家なのか。それとも彼は男の子が好きなのか。自分を誘ったときの雰囲気、彼の目の端の不思議な輝き、もしかすると……自分のハートがいけない妄想に染まり始めます。
また、メールします。
(続く)