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キャンプを始めたのは「外で煮炊きして寝られるのか」を試す為
アラフィフおばちゃんである私は、運動は苦手だし、アウトドア全般一切興味がないのだが、いきなりキャンプを始めて、周りの友達はちょっとビックリしていた。
いろいろ聞かれたが、理由はいくつかある。一番の動機は「何かあった時、外で煮炊きして、寝られるのか?」という不安の解消だった。
もちろんスウェーデントーチをやってみたいとかゆるキャンみたいにほっこりしたいとか朝食にホットサンドを食べたいとかいろいろやりたい事が溜まった結果、キャンプやりたい!となったのだが、、、。
諸々の思いはコロナ禍の中で、ゆっくりと膨らんでいったのだ。
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極限の状態を知らない自分
コロナ禍では、それまでの景色が一変し、先の見えない不安が押し寄せた。公園の遊具は黄色いテープでグルグル巻きにされ、公共の乗り物は息を潜めるように利用した。親とも会えず、子供と家に閉じ込められた感覚だった。
もともと超インドアということもあり、この間に子供と一緒にマイクラを始めたり、本も読んだり、映画も観たりなど、鬱々とはならなかったが、さすがに外へ出たいという気持ちは強まっていった。
「氷点下で生きるということ」やネイキッドサバイバー(全てガチなのかは不明)などのドキュメンタリーもよく観ていた。そして、自分だったらどの程度やれるのか。どれだけ耐えられるのか?という点に単純に興味も湧いていた。
戦争をリアルに体験したのは、祖父母世代だ。
孫の私は、防空壕、空襲、疎開、配給、闇市、買い出しの話などは、聞かされてはいたし、ドラマや映画からイメージする事はできるが、実体験は当然ない。
そして、日本は災害の多い国だ。地震もだが、水に恵まれている分、水害も多い。私の住んでいる地域も同様で、台風が3つ重なった年があった。その時はさすがに浸水を覚悟したのだが、子供がまだ幼く避難生活を想像すると、ただただ不安で眠れなくなったこともある。
恐怖と不安は違う。恐怖には明確な対象があるが、不安は漠然としている。
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この漠然とした恐れは何なのだろう?
小さい時は砂場で遊んだり、セミを取ったり、夏は真っ黒に日焼けしていたのが、いつのまにか、大雨や雪が降れば学校を休むようになった。そんな時は、大人びた声で、自分で電話する位の事はやってのけた。寒い時期になれば、「風邪気味の為体育はお休みさせてください」とやはり大人びた文字で手帳に書いて持っていった。
こうやってだんだんとフィジカルなことを極力避けて成長していった。
当然、身体が濡れるのも、泥まみれになるのも嫌で、日焼け止めは欠かさず、寒いのも苦手、虫も大嫌い、疲れることはしたくないという大人になった。
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旅行は行くが、それは都市から都市への移動に過ぎず、外出するための興味は常に街中にあった。
本当の意味で「外へ出る」事は、私の人生ではなかったのだ。
お外に出ないと!
お天気の良い日に、近くの公園でピクニックする位はしていたが、火を使って調理をしたわけではない。(公園では、火を使ってはいけません!)
もちろん野外で寝た事も人生で一度もなかった。
疫病、災害、戦争などなど人生何が起きるか分からない。突然、家からおっぽり出される危険がこの先絶対ないとは誰にも断言できない。
年齢も重ね、すっかりヤワヤワになったと自覚していた分、「自分がコントロール出来ない未知なる環境で、どれ位やれるのか?」が不安の根源にあったのだと思う。
それには、まずやってみないと!
意外にも、後ろ向きな気持ちは湧いてこなかった。だてに家事労働に勤しんでいたわけではないので、子供の頃と違って多少自信はあったのだ。
キャンプを始めてからいろいろ打ち砕かれたが、、、。
実際は、ファミリー向けのキャンプ場で、ウォシュレット付きのトイレに感激したり、ガスバーナーで手っ取り早くカップヌードルを食べちゃったり、泥だらけになれば温泉に直行したりと、ガチ度はかなり低い。
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とはいえ、火起こしや、炭、焚き火など直火での調理、テントでぐっすり眠ることや魚を釣ることなどなど、出来ることも増えた。
虫さんに占拠されたトイレでも無言で用を足せるし!
なによりキャンプは楽しいという事に気づけたのは最大のプライズだと思う。
いずれはソロキャンができるくらいまでにスキルをあげたいと考えている。
この部分、夫が読んだら、現実感のなさにひっくり返るんだろうなぁ〜
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