欲を奪って愛の袋に入れる。

あなたが、私に向かって｢可愛い｣という回数が、ここ数ヶ月で圧倒的に増えている。
私が、あなたが思う｢可愛い女｣であり、｢他に触られない、触られたくない存在｣に、少しずつ近づいている。

他の男性に性的にみられている事を喜ぶと、機嫌を損ねる。
「自分以外の男と、連絡をとらないで」と独占する。
親しい異性の存在を感じると、「仲いいね」と釘を刺す。

私がもう少しスレてなければ、｢きっとあなたは私のことを好きなんだ！｣と
舞い上がってしまっていたと思う。
そう考えると、今までの雑な恋愛経験も全て無駄ではなかったな、と思える。

あなたは、私をある種の｢モノ｣として、手放せないのだ。
自分の大半を知っていて、ある程度雑に扱える。
性的な相性がかなり良く、あなたのツボをしっかりと抑えている女。
そんなの、私しかいないのだ。

あなたは、仕事柄とその人となりの良さから周りにひとが集まる。
私より顔が好みの女性にだって、何人もあってるはずだ。

それでも、すぐ届く場所にいる｢私｣から、手を離すことができないのだ。

それは、性欲と、所有欲。

今の私は、あなたのその2つが私から離れないように、程よく距離を保っている。
恐らくあなたは、自分が私をコントロールしているようにおもっているんだろう。

私が、そう思うようにコントロールしているのに。

性欲と独占欲は、愛情とかなり近い場所にある別物である。
欲はあくまで欲で、情ではないのだ。
欲は自らのためにしか働かないが、情は相手の為に働く。

でも、欲は理性と離れ過ぎているから、欲に多くの人は抗えない。
ちょっとした理性が欲の味方をした時、さらに抗えなくなる。

今私は、あなたから欲を奪っている。
いつかあなたがその欲を、情だと思う日が来るかもしれない。
その前に、私が、欲だけをあなたと共有したまま、理性で誰かと結ばれるかもしれない。

どちらがきてもいい。

ついにわたしは1つ、あなたから奪ったのだから。