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「先生、なんで全部違うの?」

日本語の特徴として、その語彙の豊富さがあります。
日本語は、同じ意味を持つ言葉が複数存在していて、その使い分けが求められます。これは、日本語は、文脈や場面などに応じて、ニュアンスの微妙な違いを表現するからです。

「を」と「に」はばっちりですが…

先日、日本語のクラスで、動詞の対象となる助詞「を」と「に」の使い分けの練習をしました。
イラストを見ながら日本語にしていきます。
「みそ汁をおわんによそう」
「コップにジュースをつぐ」
「カップ麺にお湯をそそぐ」と進めていきました。
「を」は「動くものが対象」となり、「に」は「動かないものが対象」となる、そう教えると、今まで間違いが多かった生徒も、もうミスはしなくなります。

「よそう」「つぐ」「そそぐ」…

ただ、英語では「pour」あるいは「put in」が、日本語では「よそう」や「つぐ」「そそぐ」と使い分けなければなりません。
早速「どうして、ねえどうして?」と質問が…
そうですよね、なぜ「みそ汁をおわんにつぐ」ではだめなのか、「コップにジュースをよそう」ではだめなのか…

英語では、「pour」は、液体や粉末などを容器から別の場所に流し出すという意味を持つ動詞で、「put in」は非常に守備範囲が広い語彙で、非英語話者がイメージを浮かべるのが難しい語彙ですが、日本語ではその状況や状態に応じて異なる表現が使われます。

「よそう」
食事を皿に盛る、特にご飯や料理を取り分ける際に使われる表現ですが、みそ汁の場合にはこの「よそう」が通常使われますよね。

「注ぐ(そそぐ)」
「そそぐ」は、主に液体を別の容器に流し入れる際に使われます。
また、「川が海にそそぐ」や「雨が降りそそぐ」のように、大量の液体が勢いよく流れる場合にも使われます。

「つぐ」
液体を容器に注ぐときに使われ、特に日本酒やお茶などを「他の人」に注ぐ際に使われますよね。「お茶をお客様につぐ」とか「日本酒をおちょこにつぐ」とか。

「入れる」
飲み物や液体をカップに注ぐ時にも使いますが、より広範な意味をもっています。
「コーヒーをカップに入れる」や「水をペットボトルに入れる」のように使いますよね。

「つぐ」や「入れる」の場合には、きっちりとした使い分けはないようですが、「よそう」などは完全に使い分けしていますよね。

日本語って本当に難しいですよね!

note に楽しい記事がありました。
hiro / KOTOBASHIYA さんのこちらの記事です。

この「沸かす」と「茹でる」も使い分けが難しい言葉ですよね。
私も hiro さんのように、クラスが終わってから、しっかりと調べなおすことが多いです。
私たち日本人は何気なく使っていますが、いざ「どうして?なぜ?どうちがうの?」と言われると、説明に困ってしまいますよね。特に英語では。

英語の「put」などのように、よく使われる語彙を、日本語でもイメージで覚えるといいかもしれませんね。
私も生徒たちに、「このイラストのまま覚えてね!」と伝えています。

日本語は、1つの動作に対して複数の表現があり、その選択肢が豊富で、しかも、言葉に込められた感情や使う状況(立場の違いなども含めて)に応じて最も適した動詞を選ばなければなりません。
そのあたりもいっしょに、うまく伝え、日本語の楽しさとして認識してもらえるように、今後も私もしっかりと学んでいきたいと思います。


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