マレーシアのコーヒー文化
マレーシアに住んで12年になる私ですが、今回は、マレーシアの独特なコーヒー文化について紹介しようとおもいます。
マレーシアへの旅行を予定されている方や、マレーシアでの駐在が決まっている方、また、マレーシアに興味がある皆さん、そして、私同様にコーヒー党の皆さん!ぜひ参考にしてください。
「kopi(コピ)」文化
「kopi(コピ)」とは「コーヒー」のマレー語での言い方です。
マレーシアは、19世紀にイギリスにより統治されますが、コーヒー文化その時代に始まり、独自のコーヒー文化が根づいて、花咲いています。
マレー語でコーヒーショップのことを「コピティアム(Kopitiam)」とよびます。
マレー系、中華系、インド系を中心として、さまざまな民族的・文化的アイデンティティをもった人々が、穏やかに共存して来ているマレーシアですが、コピティアムは、そんな民族や文化も違う人々が、大事なくつろぎのひと時を共有する場であり、マレーシアの文化が花開いた場として、絶対に欠かせないものです。
コーヒー豆の生産地
あまり知られていないので、ご存じない方も多いと思いますが、実は、マレーシアでもコーヒー豆が採れるのです。
いわゆる「コーヒーベルト」と言われる、コーヒー豆の生産地帯に、マレーシアは位置しています。
コーヒーの栽培は19世紀から始まっていて、意外と古い歴史があります。
マレーシアで生産されているコーヒー豆は「リベリカ種」が主流です。
「リベリカ種」は、現在世界で流通しているコーヒー豆の1%にも満たないため、日本ではほとんど目にすることはありません。
しかし、マレーシアのコーヒー豆の生産量の約90%以上を占めているのです。
二度焙煎
マレーシアで広く栽培されているリベリカ種は、世界で一般的に使われている「アラビカ種」とは違って風味に欠けるため、なんと、豆を二度焙煎するという方法をマレーシアは生み出しました。
二度焙煎することにより、より深く焙煎でき、豆が持っている独特の雑味を目立たないようにしているのです。
焙煎方法は、1回目は普通にローストします。
2回目で、コーヒー豆に、砂糖やバター、マーガリン、場合によってはパームオイルを加えて焙煎するのです。
これにより、砂糖がカラメル状に変化し、コーヒー豆が黒く変色して、独特の香りがしてきます。
多くの種類があるコピ
コピティアムに行ってメニューを見てみると、コピの種類の多さにビックリ!されるでしょう。
もしかすると、オーダーできないかもしれません…
そこで、代表的なコピの種類を、ここでご紹介しましょう!
①Kopi (コピ)
マレーシアのコピで、最も一般的です。
コピに、砂糖とコンデンスミルクを(たっぷりと!)入れたもので、非常に甘いコーヒーです。カップの底にコンデンスミルク白ーくが溜まっているので、かき混ぜ方で甘さを調整します。
②Kopi O(コピ・オー)
コンデンスミルク抜きで、砂糖のみが入ったコーヒーです。
ただ、ブラックコーヒーとは違い、「加糖ブラック」といった感じで、やはりかなり甘いです。
③Kopi O Kosong (コピ・オ・コソン)
「Kosong」とはマレー語で「ゼロ(0)」という意味で、砂糖もミルクも入れない「ブラックコーヒー」ですが、「Kosong」と頼んでも、実は、砂糖が結構入っていることがほとんどです…
また、焙煎時に、すでに砂糖が入っているので、本当に「Kosong」でも、少し甘さが残っています。
④Kopi C(コピ・シー )
コンデンスミルク(加糖練乳)をエバミルク (無糖練乳) に変、甘さが若干控え目のコピです。
こちらは、最初から混ぜて来るので、ミルクティーのような色をしています。
⑤Kopi C Kosong (コピ・シー・コソン)
「Kopi C」から砂糖を抜いたものです。
⑥Kopi Susu (コピ・スス)
「Susu」はマレー語で「牛乳」という意味で、コピに牛乳が入っています。
ただ、日本で言う牛乳とは違い、脂肪分が多いフルクリームという牛乳が入っているため、カロリーが少し高目になります。
⑦Kopi Cham (コピ・チャム)
コピと紅茶をミックスした、マレーシア独特のドリンクです。
⑧Kopi Tarik (コピ・タリッ)
「Tarik」とは、「引き伸ばす」という意味のマレー語でで、コップに全ての材料を入れて高く掲げて、もう1つの下にある空のコップに注ぎ混むスタイルで、コピを引き伸ばしているように見えるからです。
かなりの高さから入れるため、泡が立ってモコモコになります。
紅茶をこの方法で出す「Teh Tarik(テ・タリッ):マレー語で「Teh」テ」がポピュラーです。
⑨White coffee (ホワイトコーヒー)
コーヒー豆を焙煎するときにマーガリンと砂糖を使うことで、コピに比べると、わずかですが苦味が抑えられます。
マレーシア北部の町、イポーが発祥とされるコーヒーで、日本人にもファンが多い独特のコーヒーです。
コピティアムで、コピを注文するときには、上記のコピの種類にプラスして、温度や砂糖の量も、さまざまなカスタマイズができます。
したがって、コピの種類も、この数倍に!なるのです。
恐るべしマレーシアのコピ文化