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佐藤賢一『最終飛行』〜詩を書きたかったサン=テグジュペリと『夜間飛行』の詩的散文〜

一昨年、佐藤賢一さん(作家)と鴻巣友季子さん(翻訳家)の対談企画「戦争・コロナの先 文学で世界をよむ」の配信を視聴した時、その中で佐藤賢一さんが、サン=テグジュペリの晩年(1940〜1944)について書かれた小説『最終飛行』について言及されていて、サン=テグジュペリは第二次世界大戦の時代の人なので、書くものは散文で書かないといけなかったという時代の制約や要請もあって一生懸命散文で書いていたけれど、本当は詩を書きたかったそうだ。死ぬまで、詩を書きたい、詩を書きたいと、常に言い続けていたその無念な思いがサン=テグジュペリの手記に遺されているとのこと。

それを聴いてサン=テグジュペリの『夜間飛行』のあの詩的想像力に富んだ文体を想起して、やはり詩を書きたい人だったんだなと改めて思った。本質的に詩人であったサン=テグジュペリの文章は形式的に散文であっても、詩的感動で読者の心をとらえる。


参考記事①:佐藤賢一さんインタビュー記事 『最終飛行』について   

参考記事②:妻はこわい――作家、佐藤賢一さんが綴る『星の王子さま』作者サン・テグジュペリにおける妻コンスエロとの夫婦論。小説『最終飛行』文庫刊行に寄せて 

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