【ヘルスケア】ヘルスリテラシー②:不調を引き起こす目に見えないダメージ
前回に引き続き、本記事はこちらの書籍を基に書いています。
▶︎ 不調の5大要因
健康を害する行動,食べ物は,以下の5つの要因を経てカラダに害を及ぼします。
『糖化反応』『酸化ストレス』『炎症反応』『腸内環境』『自律神経』
目に見えないダメージの正体を知り,ひとつひとつ確実に減らすことで『エネルギーにあふれ,活躍できるカラダ』が手に入ります。
① 糖化反応
食事などで摂取した余分な糖分が筋肉やコラーゲンなどのタンパク質と結びつき,細胞などを劣化させることです。
血糖値が上がりやすい食事をしていると,糖化がどんどん進みます。
糖化によって生産される AGE (糖化最終生成物)は,肌や内臓などの組織に働きかけ,シミやシワだけでなく,白内障,動脈硬化症,アルツハイマー病などの原因になると言われています。
② 酸化ストレス
呼吸によって取り込んだ酸素の一部は活性酸素になります。
活性酸素は,細菌やウイルスなどを破壊するなど,カラダに有益な作用を持ちますが,一方で,他の物質に働きかける力が強いため,タンパク質や脂質,DNA などを傷つけるなどの性質を持っています。
カラダが持つ抗酸化力を超えると『酸化ストレス』となり,血管や細胞に大きなダメージを与え,高血圧,動脈硬化症,心疾患,がんなど,様々な病気の発症や悪化に繋がります。
③ 慢性炎症
『炎症』とは,組織の異常に対して起こるカラダの防御反応のことです。
ケガやウイルスなどの感染によって,赤み,腫れ,発熱などが起こるのを『急性炎症』といいます。
一方で,免疫細胞をコントロールするメカニズムに異常が起きると,活性酸素が出続けて,組織にくすぶるような慢性化した炎症を引き起こします。
この『慢性炎症』は,関節リウマチ,糖尿病,アルツハイマー病などの原因になるほか,体内のがんの20%と関連していると考えられています。
④ 腸内環境
幸せホルモン『セロトニン』を増やすための『腸活』などでも,腸は『第2の脳』と呼ばれ,クローズアップされています。
私たちの腸内に500種類以上も生息しているといわれる腸内細菌は,大まかに『善玉菌』と『悪玉菌』に分かれます。
腸内細菌のバランスが崩れ,悪玉菌が増加すると,悪玉菌が生成するアンモニア,硫化水素,アミン,フェノールなどの物質が,腸を傷つけるだけでなく,一部は吸収されて,肝臓,腎臓,心臓,脳などにも障害を与えます。
そして,高血圧,動脈硬化症,肝機能障害,関節リウマチ,がんなどの一因となると考えられています。
⑤ 自律神経
『自律神経』とは,体温,消化,ホルモン分泌など,人間の意思とは関係ないところでカラダを維持するために働いている神経のことです。
自律神経には,日中に優位になりカラダを活動させるための交感神経と,夜間に優位になりカラダを休めるための副交感神経があります。
この2つの神経のバランスが乱れると,カラダをコントロールしているホルモンや血流・神経活動に異変が起こり,肩こり,便秘,めまい,高血圧など,様々な症状の原因になります。
▶︎ 5つの要因の関わり合い
人のカラダの内側と外界を繋いでいるのが『自律神経』と『腸内環境』です。
外界から『ストレスなどの要因』があると,カラダの内側の『自律神経』のうち,交感神経が活発になり,活性酸素が大量に発生し,酸化ストレスにより組織を傷つけます。
そうなると慢性炎症や糖化が起こるのです。
酸化ストレス・慢性炎症・糖化反応の3つは同時に起こります。
糖化は酸化ストレスや慢性炎症のスイッチをオンにするし,酸化ストレスや慢性炎症は糖化を作りやすい状態にします。
このアウトプットは腸の動きを悪くし(腸内環境の悪化),ストレスホルモンの増加による全身症状を生み出します。
そして『腸内環境に良くない食事』がカラダの内側で引き起こすのは,悪玉菌の増加です。
悪玉菌は全身の免疫を過剰に活性化=炎症を引き起こし,エネルギーを過剰に吸収させ,悪玉菌増殖による炎症物質やトキシン(体内毒)を産生。
酸化ストレスを引き起こし,炎症物質が体内に分泌されて,さらに糖化が進む悪循環を生み出します。
結果,腸の動きが悪くなると神経を通して脳に負の刺激が伝わり,さらに自律神経のバランスが崩れるという関係になっているのです。
つまり,前回の記事で言及した『病気は複利で増えていく』というのは,まさにこのイメージなのです。
このように『糖化反応』『酸化ストレス』『炎症反応』『腸内環境』『自律神経』の5つは互いに深く絡み合い,影響を及ぼし合ってカラダにダメージを与えるのです。
本日はここまで。次回に続きます。