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I am Water. 常に変わり続けていくこと〜人生で大切にしていることは?と聞かれて〜

「人生で大切にしていること、何かありますか?」

昨晩、友人と食事をしているときに、そのように聞かれました。

友人がこれから環境を変えていこうとしており、これからのキャリアを考える上で「人生で何を大切にしているのか」という問いについて考えているとのこと。

「これまでの人生でずっと大切にしてきたというより、今、そしてこれから大切にしたいことだけれど」

そのように前置きして次のように答えました。

「常に変わり続けていくこと」と。

生命は「細胞」という、膜で閉じられた空間を形成し、内側と外側を分け、物質を選択的に取り入れることによって、内部の物質の濃度や純度を高めて化学反応を促進する環境を整えました。

また、細胞は「閉じながらも開いている存在」でもあり、これは「代謝」という形で表れています。

外部から栄養素を取り込み、それをエネルギーに変換する機能を持っており、細胞は生存に必要なエネルギーを得ることができる。

そして、細胞同士で連携、相互作用しながら、生存に必要となる様々な機能を発揮します。誰から命じられるわけでもなく自律的に。

内側と外側。閉じながら開かれている。

「閉じる」ことは一種の制約であり「不自由」とも言えるかもしれないけれど、その上で外に向かって「開く」ことによって、不自由さを補ってあり余る「自由」を得られる可能性を手にしたのではないだろうか。

内側と外側の「あいだ」にある流れが途絶えるとき、生命は終わりを迎えてしまう。

だから、流れ続けていく。

流れは、絶えず変わり続けていく。

穏やかな川のせせらぎのように、ゆっくりとでも変わり続けていく。

I am Water.

水はすみやかに、はっきりと、そして劇的に変化する。「変化流動する水」は、人を引きつけ、飽かすことなく、人をそこに留める。水が流れ、うつろい、二度と同じ姿を見せない様は、はかなく「変化するもの」、あるいは「変転するもの」としてイメージされることがある。鴨長明は『方丈記』に、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消え、かつ結びついて、久しくとどまりたるためしなし」と記し、変化して止まない「はかない水」をとらえている。

鈴木信宏『水空間の演出』

G・バシュラールは、「水が真にうつろいやすい元素であり」「存在の実体をたえず変貌させる根源的運命」を有するものであることを人が理解するとき、ヘラクレイトスをより一層の共感と苦悩をこめて理解するであろうと言う。「ひとは同じ河に二度とは水浴びをしない(ヘラクレイトスの有名な箴言)、なぜならすでにおのれの深みにおいて、人間存在は流れる水の運命を所有しているからである」と。

鈴木信宏『水空間の演出』

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