少しずつ空気を吐き出してゆく、全身の力が抜けて水に身体が沈んでゆく。
余計な力が抜けるに連れ、意識が自分を取り囲む水に広がり、解けてゆく。
どこから自分でどこからが水なのか。
自分と水のあいだ、境界が曖昧になってゆく。
何か道筋を見出したいとき、あるいは道筋が見えてくるとき。
それは「深い底から浮かび上がってくる」感覚に似ているのかもしれない。
「浮かび上がる」とはどういうことだろうか。
自らの力で浮かび上がってゆくことも、他者の力を借りて引き上げてもらうこともできる。
それ以外の方法は何か存在しないのだろうか?
「水より比重が重い物は沈み、水より比重が軽い物は浮かび上がる」という物理を参照するならば、自らが背負うものを手放す(比重を軽くする)ことで、意識されなかった周囲の力(自然)を借りることができる。