日常会話の中で、自然と何かに例えて物事を伝えることがあると思います。「何かに例える」ことができなければ、不都合が生じるかもしれません。
たとえば、「重要」という表現は「重さ」の概念が使われています。「重い・軽い」の程度を身体経験を通して伝える。
重い物を持った時の感覚、軽い物を持った時の感覚。そうした感覚・記憶が呼び起こされて、物事の印象や意味の度合いを測ってゆく。
一人ひとり身体は異なるわけで、厳密には自分と他者が全く同じ身体経験をしているとはかぎりません。自分が「重い」と感じることが、相手にとっては「軽い」と感じることもあるかもしれません。
それでも「身体」というモノサシを媒介することで、他者との間で抽象的な概念を「具体化」して伝え合うことができる。抽象概念の伝える・伝わるが成立している。
そう考えると、人工知能のように「生身の」身体を持たない存在は「重要」という概念をどのように捉えているのだろうか(少なくとも人間と同じようには捉えていないのだろう)という問いが浮かんでくるのです。