「伸縮の同時性」
いつものようにヨガに取り組んでいると、「どこかを伸ばすためには、同時にどこかを縮めなくてはならない」と身体を通して感じます。
自分の肉体の大きさは有限で、「縁」あるいは「端」を持っていて、物質的な肉体としては無限に伸びたり、大きくなることはできません(少なくとも、現代の科学技術では…)。
たとえば、真っ直ぐに立って「側屈」をしてみます。
右側に身体を傾けていくと、左側面の皮膚や筋肉がゆっくり、じっくりと「伸びる」わけです。
と同時に、右側面は「縮む」わけです。
「後屈」をしてみると、胸周りを中心に前面が伸びながら広がってゆき、と同時に後背部が縮んでいきます。
「身体という空間」はその大きさが有限であるからこそ「伸びる」と「縮む」といったように、相反する事象が同時に生起してその有限性が保たれます。
「相反の同時性」が「調和を下支えている」のかもしれない。
「空がゆえに満ちている」あるいは「簡素がゆえに豪華」など、「相反」は日常生活を豊かにするヒントを与えてくれるようにも思います。