「何を通して、何を通さないか」
生命、生物について学んでゆくと、そのダイナミズムに感動を覚えるばかりです。自分の肉眼では到底観察できないミクロな世界での様々な現象。極微の物質が無数に組み合わさり、複雑な相互作用を通して自律性のある生物が誕生してゆく。
ミクロとマクロの境目は相対的なもので、私たちが見ている世界のスケールを基準として測る場合と、微生物が見ている世界のスケールで測る場合では見え方が全く異なるでしょう。
生命を支える一つの鍵は「細胞」にあり、細胞は「閉じながら・開いている」という。「開閉」という二項対立で捉えられることの多い概念が、矛盾なく共存していること。
それは「個」という閉じた存在が、必然的に外界に向けて開かれたつながりを必要とすること、一体不可分であることを意味しています。
逆に言えば、私・私たちという存在は開かれたつながりを通して何かしらの作用を及ぼしている。
このようにして考えてみると、「世界はつながりでできている」ことが自然に思えます。
生命について学ぶことは、つながりにおける調和・美しさを見つめ直す機会になるように思うのです。