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部屋 第7話

壁に手をかざすと、手が光った。

壁が光を放ち、この部屋を明るくしている。

光の発信源は外だ。

すべてが意図的に仕組まれているようだ。

いったい何のために?

そもそも今日は何日だ?何曜日だ?

記憶が無い。これも意図的に消されているのだろうか。

この普通の白い壁の外には誰がいるのだろうか。

おれが寝るたびに、部屋は狭くなっていく。

眠ることはできない。

「もう一度、しっかりと点検しよう」

おれは部屋中を細かく確認した。

白い壁と床はセラミックタイル、部屋の角は丸くなっている。
白い壁は光を放っている。今までわかっていたことと何も変わりはなかった。

「くそが!」

おれはベッドにあった枕、毛布を投げた。

それだけでは物足りずに、ベッドの布団を剥いだ。

布団は床に落ちた。

ベッドがフレームだけになった。

布団を剥いだところを見ると、灰色の扉があった。

それは金庫の扉に似ていた。

続く。

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春風誠(Makoto Harukaze)
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