心の平穏を手に入れる：穏やかに生きるための心がけ

生きているなかで心の平穏を保つことはなかなか難しいです。

人間関係は複雑であり、価値観は多様ですので、常に意見の食い違いは生じます。

人とのいさかいによって心身が乱れることは、避けられない部分があります。

また、仕事や家庭の中で、常に追いたてられるように、競争、成長、成果、効率を求められることもあるでしょう。

絶えず、成長や成果、効率や権利を追い求めることについてが、必ずしも心の平穏に繋がるわけでもないのでしょう。

人間関係を考えるとき、紛争を解決していくとき、お金を稼ぐとき、成長していくとき、人生の様々な場合において、自分自身の心と向き合い、今やっていることが心の穏やかさや幸福に繋がっていくのか、意識していくとよいでしょう。

そこで、本記事では、穏やかに生きるための方法を紹介し、心の安らぎを得るためのヒントを考えていきたいと思います。

1　心の平穏とは何か

心の平穏とは、内面的な安定や静けさや豊かさ、安らぎ、幸福を感じるものなどを指すものといえるでしょう。

外部のどうしようもない環境や紛争、状況に左右されず、自分自身の感情や思考を受け入れ、穏やかに、幸福に、過ごすことができる状態です。

自分自身がどのような状況で心の平穏を得ることができるのかを知ることで、どのような決断をすべきなのか、どのように生活を送っていくのかの指針となることもあるでしょう。

2 心の平穏を妨げる要因

心の平穏を妨げる要因にはどのようなものがあるのでしょうか。

例えば、

（１）　過度の身体への負荷

長時間労働や過度の体への負担、食事をとらない、睡眠時間を取らないなど健康を害する状況にあった場合には、気持ちの持ちようだけでは心の平穏を得られないことがあります。

厚生労働省での調査でも、過度の長時間労働が労働者、経営者、自営業者を問わず、脳の萎縮を招き、一定の心身の故障に繋がることが示唆されています。

意識して、健康や身体を大切にしていく環境をつくることが、心を元気にしていく、平穏や幸福感を得ていくことにつながるでしょう。

（２）　過度のストレス

ストレス自体は常に存在し、すべてをなくすことはできません。

また適度なストレスは、日々の仕事や生活にメリハリを与え、よい影響を与えることもあるでしょう。

しかし、過度のストレス、仕事や家庭のプレッシャー、時間に追われる生活は、心身を害してしまい、心の平穏を損なう危険性があります。

過度のストレスは、身体に症状として現れたり、ときには犯罪や不倫などの反社会的な行為に繋がってしまうこともあります。

自分にあった、ストレス・コントロールを用意をしておくことは、心の平穏を維持していくうえで有用でしょう。

（３）　悪い人間関係

人の悩みの多くは人間関係にあります。

よい人間関係、友人関係、家族や地域、社会とのつながりは幸福や心の平穏に資するものとなります。

一方で、不適切な、悪い人間関係や過度の関わりは大きな負担となることがあります。

例えば、職場におけるパワーハラスメントにおいても、個の侵害という類型があります。

私的なこと・プライバシーに過度に立ち入ることは、ときには違法と判断されることもあるでしょう。

仕事をしていたり、社会には様々な人々がいるため苦手な人々を完全にシャットアウトすることも難しい部分はあります。

価値観の違いを認め、適切な距離感、心のラインを設けることも必要でしょう。

ですが可能であれば、多くの時間をよい人間関係、大切な友人や家族と過ごせるように環境調整をしていけるとよいでしょう。

（３）　過度のネガティブな思考

ネガティブな思考自体が悪いものではないとは思います。

内省的な人、物事をよく観察できる人などはネガティブな思考になりがちです。

課題に対してよく考える傾向があるため、より良いアウトプットを出すこともあるでしょう。

しかし、過度に自分自身や他人に対する批判的な考え方は不必要に自分や他の人を傷つけてしまうおそれもあります。

過度のネガティブな思考が陥りすぎてないか客観視してみてもよいかもしれません。

自分ではコントロールできないことは考えないと意識してみる、あえてポジティブな思考ができるルーティンを作っていくことで意識的に感情をコントロールしてもよいでしょう。

（４）　過度の執着心

すべての執着心を持つこと自体が悪いわけではありません。

しかし過度に執着心をもつと、心の中で管理をするタスクが増えすぎてしまい、心の平穏が損なわれることがあります。

物事に執着しすぎていないか、本当にそれは必要なのか、大切なのか、自分自身でコントロールできていないことにまで心の中で思い悩んでいないのかを考えてもよいでしょう。

不安や執着心を手放す方法を身に着けておくことで、心の平穏を得られることもあるでしょう。

（５）　過度の欲望

人に欲望があることは当然であり、欲望や期待はパワーの源にもなります。

欲望があるからこそ、人は成長し、成果を上げること、幸福を追求することができる側面もあるでしょう。

しかし、欲望には際限がありません。

客観的、現実的に叶えられない欲望が存在することも事実です。

欲望があることを認め、代償手段を用意すること、過度の欲望に振り回されれていないかを意識していくとよいかもしれません。

法的紛争でも過大な金額請求を行うことや自らの欲望を満たすだけを考えてしまうとかえって紛争が長引いてしまったり、話合いが難しくなることも多いでしょう。

（６）　過度の貧困・経済的困窮

資本主義経済において、お金は生活の基本的な要素であり、適切なお金稼ぎ、生活をしていくことは大切です。

過度の貧困において、健康で文化的な最低限度の生活を送れない状況に陥ると、心の平穏を保つことも困難となるでしょう。

高い付加価値を得るためのスキルや能力、知恵を活用し、価値を提供することで、豊かな生活が得られるよう環境を作っていくことは大切です。

しかし、すべての人がお金を稼ぐことに向いているわけではありません。

収入を得るための自身の能力や時間にも個々人によって限りがあります。

残念ながら人は必ず老いますためいつまでも健康で居られるわけでもありません。

状況などによっては福祉や行政、専門家や適切な支援を受けることで対策ができることもあるでしょう。

多重債務や事故での失業などの避けれない事態が発生した場合には、債務整理手続や労災手続、各種手当、社会福祉協議会、自立支援事業、行政での生活保護をすることで過度の貧困を避けることができる場合もあるでしょう。

いずれの要素も生きていては避けがたい部分はあります。

どこかが過度にならないように、自分自身と他者、社会、共同体とのバランスをとっていくこと、落としどころを探していくことも心の平穏を探すヒントとなるでしょう。

3 　穏やかに生きるための実践方法

心の平穏を手に入れるためには、自分自身の心にはどのような傾向や特性があるのか把握して、その個人にあった具体的な方策を試してみるとよいでしょう。

ある人にとってよかった方法が他の方にも有効になるわけではありません。

そして、心身は常に変化していくため、様々なアプローチを試していくことで心を平穏にする方法に出会ったり、気づいたりすることがあるでしょう。

(１）健康を意識する

①　栄養バランスの取れた食事

栄養価の高い食事を心がけ、身体によい環境をつくるとよいでしょう。

②　定期的な運動

ウォーキングやヨガなど、軽い運動を取り入れることで、ストレスコントロールをすることができ、平穏な心を保つことができます。。

③　十分な睡眠:

質の良い睡眠を確保することで、心身の健康を確保することができます。

(２）人間関係の見直し、よい人間関係や社会とのつながりをもつ

人付き合いが苦手なこともあるでしょう。

避けられない人間関係もあります。

しかし、適切な範囲で、自分にあった範囲でよい人間関係や社会、共同体との繋がりを作っていくことは心の平穏を得る上で大切です。

①　ポジティブな人と過ごすことを意識する

自分を支えてくれる人や、ポジティブなエネルギーを持つ人と時間を過ごすことでエネルギーを貰えることもあるでしょう。

②　ライン・境界線を設定する:

自分の心の健康を守るために、相手との境界線を意識しておくとよいでしょう。

ラインを何度もオーバーしてくるときには、必要なときには「ノー」と言い、離れる勇気ももてるとよいでしょう。

(３）幸福ホルモンに着目してみる

一定の刺激を受けたときに、脳がホルモンを分泌するといわれています。

①　セロトニン：不安やストレスを和らげる効果

②　オキシトシン：愛情をつかさどる効果

③　エンドルフィン：気分を高揚させる効果

④　ドーパミン：やる気を引き出す効果

どのような行動や刺激をすることがこれらの幸福ホルモンがでやすいのかを意識してみるのもよいかもしれません。

逆に、ギャンブルやガチャなど、ドーパミンを刺激する形のビジネスのターゲットになっていないかなども意識することで、依存症や浪費などを避けることができることもあるでしょう。

(４）瞑想・マインドフルネスの実践

マインドフルネスとは、過去、未来ではなく、現在の瞬間に意識を集中させることといわれています。

マインドフルネスというと少し怪しいイメージもありますが、ストレスコントロールや心身の健康において、一定の効果があるともいわれているため、やり方を習得していくとよいでしょう。

（５） ポジティブな思考の育成

ネガティブな思考を減らし、ポジティブな思考を育てるための方法を意識していくとよいでしょう。

①　感謝のリストを作成する

感謝していることを書き出してみることもよいかもしれません。

感謝をすることを意識することで、当たり前ではなかったことに気がつくこともあるでしょう。

心の持ちようで、平和な日常を生きることができていることが奇跡であり、多くの人々に支えられていることなどに気が付くなどポジティブになることができるかもしれません。

②　自己肯定感を高める:

自分の良いところや成功体験を振り返り、自分を褒める習慣を持ってみましょう。

トラウマや幼少期の体験からアダルトチルドレンとの状態となっており、簡単に自己肯定感を高めることが難しい方もおられるとは思います。

認知行動療法やカウンセリングなどを外部の方に協力してもらい、自己肯定感を高めていくといったこともありえるでしょう。

(６） 趣味やリラクゼーションの時間を持つ

自分の好きなことをする時間、趣味を持つことは、心を豊かにするヒントになるでしょう。

趣味を楽しむこと、絵を描く、音楽を聴く、読書をする、映画をみる、旅行にいく、友達と話す、釣りをする、散歩に行く、自分が楽しめる活動を見つけましょう。

リラクゼーション法を取り入れること

瞑想や深呼吸、ストレッチなど、リラックスできる時間を意図的に作っていくとよいでしょう。

（７）経済的な余力をもつ・支援機関を知っておく

将来への不安がある場合には、安全な環境でない場合には、心を穏やかにし
ていくことが難しい場合があります。

社会の変化に備えて、生活ができるように仕事、スキルを身に着け、資産形成なども経済的な余力を持つための知恵を得ておくとよいでしょう。

ライフステージに応じて、将来の収入と支出のバランス、生活に不可欠な資金を調達する方法を得ておくことで、将来的な不安を避けることができます。

不運にも、多重債務に陥った場合や社会的に困窮した場合であっても、現代の日本では、法的手続きを経ることで健康で文化的な生活を送っていくことができるようになっています。

福祉、行政、法的救済手続きなど実際に困難が発生した場合への対応方法についても知っておくこと、窓口へのアプローチの仕方を知っておくことで将来の不安を大きく下げ、心の平穏を維持することにもなるでしょう。

まとめ

心の平穏を手に入れることは、簡単ではありませんが、実践を重ねることで少しずつ近づくことができると思います。

脳科学やマインドフルネスの知見を活用し、日常生活に取り入れることで、穏やかな心を育てることができるでしょう。

難しい法律や権利主張の手続も、複雑な人間相互の関係を調整し、それぞれ個人が最大限の幸福を得ることができるようにするための手段です。

日々の生活の中で、自分自身を大切にし、心の平穏を得られるヒントを得ていくとよいでしょう。