最先端のマーケティング研究を知る方法
どの学術分野にも共通することだと思いますが、分野最先端の情報をキャッチするには、学術論文を読む必要があります。マーケティング研究も例外ではなく、最新の研究成果は論文に掲載されています。
とはいえ、マーケティングに限っても、かなりの数の学術雑誌があり、初学者にはどれを選んでいいかわからないかもしれません(少なくとも、かつての私はそうでした)。
そこで、最先端のマーケティング研究を知るうえで、押さえておいたほうがいい雑誌をいくつか紹介したいと思います。
Journal of Marketing
マーケティングの学術雑誌で、まず読んでおきたいのがJournal of Marketingになります。マーケティングの本質的なテーマを取り上げた論文が多く、研究者はもちろん、実務者の方が読んでも面白いであろう研究が多く掲載されています。
こうしたことから、マーケティングにおける学術雑誌の最高峰と呼んでも過言ではないと思います。
例えば、以前取り上げた「デザインが良い製品は売れるのか?」というテーマに取り組んでいたのも、Journal of Marketingに掲載された論文でした。
Journal of Marketing Research
Journal of Marketing Researchも、マーケティングにおけるトップジャーナルの一つです。Journal of Marketingと同様に、学術的にも実務的にも重要なテーマが検証されています。
あくまで私の印象ですが、Journal of Marketingよりも、難易度の高い統計的手法が用いられる論文が多いように感じます。また、近年、隣接分野の研究者の方の論文が掲載されることも増えてきました。
最近では、法政大・西川先生らの研究グループが、Journal of Marketing Researchに論文を掲載されていました(※1)。無印良品においてランダム化比較実験をおこなっており、非常に面白い研究です。
Journal of Consumer Research
Journal of Consumer Researchは、消費者行動論におけるトップジャーナルの一つです。
マーケティングの研究では、消費者の購買行動に焦点を当てたものが多くあります。しかし、消費者行動論の研究では、消費者の心理を理解することを目的としている場合がほとんどです。
この違いは意外と大きく、マーケティング系の雑誌とは異なる知見が得られるかもしれません。
実験やアンケートといった手法を用いた研究が多く、比較的読みやすいことも、Journal of Consumer Researchの特徴だと思います。
Marketing Science
マーケティングにおける統計モデルに関心のある方は、Marketing Scienceを読んでみるといいかもしれません。
Marketing Scienceも、上述した雑誌と同様に、トップジャーナルの一つですが、統計学や計量経済学が得意でないと、読むのに苦労する可能性が高いと思います。
その他の著名雑誌
他にも、Journal of Interactive Marketing, Journal of Retailing, Journal of Business Researchなど、多くの優れた学術雑誌が存在します。
また、日本語の学術雑誌では、日本マーケティング学会の「マーケティングジャーナル」、日本マーケティングサイエンス学会の「マーケティングサイエンス」などにも、興味深い研究が掲載されています(※2)。
もちろん、今回紹介したもの以外にも、面白い論文が掲載されている雑誌は多数あります。テーマを絞った雑誌もあり、色々と探してみると面白かもしれません。
※1: Nishikawa, H., Schreier, M., Fuchs, C., & Ogawa, S. (2017). The value of marketing crowdsourced new products as such: Evidence from two randomized field experiments. Journal of Marketing Research, 54(4), 525-539.
※2: 日本語の学術雑誌も数多くあるため、現在自分が所属している学会のものを紹介しました。