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FIVEISM×THREEから見るメンズメイク市場

はじめに

男性の化粧品市場は、少しずつ大きくなっていると言われています。
インテージがおこなった調査によると、2016年と比較した際、2020年は40億円近く市場が大きくなっています。

男性の化粧品市場には、スキンケア製品をはじめ、様々なジャンルがあり、中でも最近注目を集めているものが、メンズメイクになります。

実際に、様々なファッション雑誌でも取り上げられており、例えばメンズノンノでは、メンズメイクに関する様々な情報が発信されてきました。

若者だけでなく、仕事で好印象を残したいビジネスマンにも広がりを見せているようで、もう少し高い年齢層向けのファッション雑誌でも、メンズメイクの紹介がされていることもありました。

実際に、ニュースでも30~40代のメンズメイクユーザーの増加が取り上げられており、注目度の高さが伺えます。

そこで今回は、メンズ用のメイク製品を提供しているブランドの一つであるFIVEISM×THREEの事例を紹介しつつ、メンズのスキンケア・メンズメイクに関する研究も紹介したいと思います。

FIVEISM×THREEとは

FIVEISM×THREEの公式サイトは、以下のものになります。

主に、メンズ向けのスキンケア・メイク製品を扱っているブランドです。

ただし、ブランドのSNSでは『ひとりひとりの個性を尊重し、年齢や男女などの既成概念にとらわれない新しい時代の「自己表現」を提案するコスメティックブランド』(※1)という表現がされており、決してメンズだけをターゲットにしているわけではないと言えます。

FIVEISM×THREEの特徴

まず、メンズメイクでは珍しく、実店舗でのカウンセリングをおこなっている点が挙げられます。

東京・大阪のいくつかの店舗で実施されているようですが、例えば阪急メンズ館大阪では、動画でも「メイク体験」を紹介しています。

実は、私自身も阪急メンズ大阪の店舗で、少し体験をさせていただいたことがあるのですが、知識が全くない私にも、使い方や効果等、懇切丁寧に教えていただけました。

また、メンズ向けならではのコンセプトの工夫もあるように思います。男性の中には、メイクに慣れていない/全く経験がない人が多くいることもあり、利便性・操作性が高い製品を提供しています。

「ステルスメイク」といった新しい概念を提案している点も、非常に興味深いです。ステルスメイクとは、「メイクをしている」とパッと見では分かららないようなメイクを指します。

男性の中には、「メイクをしていると周囲にはバレたくないけど、好印象を残したい」というニーズを持っている消費者がいます。こうしたニーズを満たすのが、「ステルスメイク」ではないかと思います(※2)。

メンズメイク・スキンケア市場に関する研究

では、メンズのスキンケア・メイク市場に関する研究には、どのようなものがあるでしょうか。

実は、コスメ市場などに関する研究は多いものの、男性を対象にしている研究は、まだそれほど多くありません

そうした中でも、男性のスキンケア製品への態度に影響を与える要因を分析した研究が、2009年に発表されました(※3)。この研究では、社会文化的要因・個人要因・マーケティング要因がそれぞれ、スキンケア製品へ与える影響をアンケートを使って検証しています。

他には、オンライン上の「お客様の声」に着目したメンズ化粧品研究も存在します(※4)。

メンズメイクは比較的新しい市場ですので、他にも様々な問題意識が考えられるでしょう。

私自身、現在いくつかのリサーチテーマを考え、研究をしているのですが、今年度中に学会報告などをしたいな(そして、可能なら内容をブログでも紹介したいな)と考えています。

※1:FIVEISM×THREEのTwitterアカウントより
※2:最近読んだ論文の中に、「隠したい消費」に関するものがありました。メンズメイクも、現段階ではこうした消費に分類されるかもしれません。詳しくは、こちらの論文を参照ください。
※3:Souiden, N., & Diagne, M. (2009). Canadian and French men's consumption of cosmetics: a comparison of their attitudes and motivations. Journal of Consumer marketing.
※4:Hall, M., Gough, B., & Seymour‐Smith, S. (2013). Stake management in men's online cosmetics testimonials. Psychology & Marketing, 30(3), 227-235.

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