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15年

 介護や福祉の仕事をして15年が経ちました。15年前の自分と比べて何が変わったんだろう。

成長したところ
変わらないところ
変わってしまったところ
できてきたところ
できなくなったところ

 福祉系大学を出て、特別養護老人ホームで1年半働き、大学院に行こうと思っていたが諦めて、障害者支援施設で働いて、退職して今に至る・・・

 退職2回。後悔がないわけではない。「もっとできたかも」と、今更考えてしまう。でも、辞めるしかなかった。
 障害者支援施設では、一生懸命やってきたはずなのに、なんだか評価されず、利用者からは自分本位な要望を言われて、実現しようと色々考えていると「そんなことできない」と本人からも上司からも言われてしまったこともある。
 念には念を入れて、細かいところまで計画したことを、他のスタッフの自分勝手な行動で、パァになったこともある。
 お金のゴタゴタに巻き込まれてしまったこともある(まだ解決していないこともあるが・・・)。行動を制止しようとして、鼻パンチを受けて、骨にヒビが入ったこともありました。
 代表に色々な無理難題を言われて、いちいち反応しているのも諦めて、表情に出すのも面倒くさくなり、無表情になることが多くなりました。
 何度も辞めようと思った時に、目の前にいたのは「利用者」でした。自分が「ここにいる理由」が目の前にいる。この人のためにやらなくちゃ、と踏みとどまりました。
 でも、職場に新しく採用されては、辞めていくということを見てしまうと、人を信用できなくなってしまう。もちろん、いろんな事情があるとは思うけれど、新しく採用しても「いつまで続くのか」と疑ってしまうことも増えてしまいました。これが、交友関係にも影響してしまい、親しくなりそうでも、しばらくすると連絡をとれなくなってしまうのかな、と考えてしまい、人を信じることができず、なかなかもっと親しくできない。

 治さなきゃね。

 知識は身についてきた、良い知識も良くない知識(嘘をつく知識)も。
介護技術も一通りできてきた。パソコンでの作業も一通りはできるようになった。
 でも、自分の技術・知識でいいのかと疑問になる。もっと効率的に、もっと利用者の痛みの少ない方法で、もっと周りに気を遣えるように、と出来たほうが良い事はどんどん思い浮かんでくる。
 働いた初めの時期にはできていたことも、ある程度、内情(財政面、制度面)を知ってしまうとできなくなってしまった事もあります。
 逆に、できてしまったから迷惑をかけてしまったこともありました。他の人がうまくできなかったことも、僕が対応するとすんなりできる。これはこれで良いのかもしれないが、利用者の中でのスタッフの優先順位をつけてしまっている。申し訳なく思うこともありました。

 そこをくぐり抜けるのが、社会福祉士としての使命でしょ、と思われるかもしれないが、できなかった。やろうとしても、自分一人ではできなかった。
 そんな自分にとって社会福祉士会の活動に助けられたことが多い。様々な研修にも参加して、同じ社会福祉士とのつながりや情報交換ができたことで社会福祉士としての自信がついた気がしています。また、社会福祉士会の活動に運営側としても関わり、講師という体験もしました。
 まだまだ未熟な部分があるのは、自分としても分かる。だけど、やらなくては分からなかったことでもある。そして、15年前の自分としては人前で話をすることは想像もできなったことでもある。

 だけど、自分としては今でも『このままでいいのか』と思っています。
 たかが「15年」、されど「15年」。まだまだ未熟者。
 これまでの経験がなければ、今の自分がないのは分かる。だけど、まだ分からないこともある。

 それは「自分にできること」である。

 おかしいよね。できることは増えているはずなのに、自分が分からない。こんな自分が介護して、人と接しているとはいいのか不安になることもある。

 今「できないこと」「できなくなってしまったこと」も、これから「できるようになればいい」のかもしれないが、利用者は待ってくれない。また、出来るようになっても、それだけ人に頼まなくても自分だけで済んでしまうことでもある。チームワークと言いながら、なかなか人に頼れない自分もいる。

 自分にとって、これからの『15年』でできてくることは増えてくる。
 「初心忘るべからず」とは言うけれど、いつまでも「初心」ばかりではいけない。「あの頃」は「あの頃」である。これからとは違う。

 積んできた経験は大切な宝である。宝の持ち腐れとならないようにしたい。ためになる経験も、恥ずかしかった経験も、思い出したくない経験も、楽しかった経験も、苦しかった経験も、くやしかった経験も、これから活かしていきたい。そうしないと、関わってきた人たちに申し訳ないと思う。

 15年後の自分は何をしているだろう。

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