ALS「安楽死」事件で思うこと
僕は、在宅生活をしている重度障がい者のヘルパーを長く支援しています。また、以前は、障がい者の相談支援専門員として働いていました。
そのことを踏まえたうえで、この記事の内容で気になることを述べたいと思います。ちゃんと詳細を知りたい方は別の記事を読んでくださいね。ただ、僕自身が気になっていることですので、責めることを目的にしていません。
相談支援専門員に対して
「重度訪問介護」を利用していたのなら、相談支援専門員に依頼してサービス利用計画を作成していたはず。しかも、障害支援区分は「区分5」か「区分6」は出ているはず。モニタリング期間も決められており、在宅で一人で生活しているのなら「毎月」のモニタリングとなっている。コロナ禍で毎月のモニタリングができなくても、電話連絡であったり、事業所との連絡調整はできるはず。
ヘルパーを探すときでも、必死になって探したとは思う。だけど、本人の希望通りに手配できなかった。そうであるなら、基幹相談支援センターに相談するなり、サービス担当者会議をしてサービス調整をすることはできたはず。
サービス事業所に対して
「2~3時間で交代することがある」「長時間の支援でヘルパーの負担が大きい」というのは、重度訪問介護の利用者の理解ができていない。「24時間の常時の介護を要する」ことが分かっているのなら、拒否はしないと思う。記事だけ見ていると、報酬のことだけで「やる気がない」と思えてしまう。しかも、一人暮らしということだったらなおさら支援が必要な状態が分かっているはず。ヘルパーがいない、同性介護ができないという状況だったら、なぜ、事業所指定の際に、重度訪問介護の指定を受けたのだろう。
たんの吸引、胃ろうなどのの医療的ケアが実施できる事業所やヘルパーがなかなか無いのも悩みどころだと思う。
利用者の立場としたら、「次は誰が来るのか」「どこの事業所の人が来るのか」は混乱してくるし、一つの事業所ができなくなると、他の事業所との調整でますます混乱してくる。まさに「不安のループ」みたいに、いつも悩んでいる。ヘルパーの一人に愚痴をいったとしても、すべての事業所で共有できることはないから、ちゃんと話せないと思う。
市町村に対して
サービスを利用しているということは、サービス利用計画の内容を見ていて、ヘルパーがどういう状況なのか、生活の状況はどうなのかを把握しているはず。ただ、本人がサービス利用計画の作成を希望していないということも考えられるけど、そうであっても計画作成について本人には提案しているはず。そもそも、初回の障害支援区分の認定調査は「市の職員」か「委託された相談支援事業所の相談員」が行なっているはずだから、本人の身体状況が変化するにしても、医師の診断書を見ているはずで、全く本人の状況を知らないということはないはず。
でも、ふと思った。
市の職員から、きちんと障害者総合支援法の内容や利用について説明を聞いたのは誰だろう?
家族?本人?
サービスの申請のときや、障害者手帳の更新のときに、市役所に行っているはずだから、そこで説明してもらったのかな。でも、細かい利用の方法を聞けたのかは分からない。相談員の変更ができることや、サービス利用計画の目的などを聞けたのだろうか。
また、京都府上京区には、以下のセンターがあるそうです(京都府の福祉の手引きには載っていました)。その情報は本人へ届いていたのか、また、センターへこの方の情報は届いていたのか。
本人に対して
ただ、本人に対しても気になるところもある。何か所もヘルパーを利用して、「できない」と言われるほど、支援が難しい人だったんだろうか?本人からの要望が無茶苦茶で手に負えない状況だったのだろうか?メールもできて、SNSも利用していたのなら、他に助けを求められたはず。相談支援専門員でもなかなか言う通りに調整してくれなかったのなら、相談員の変更もできたはず。そうしなかった(できなかった)のはなぜか?
そして、ちゃんと話を聞いてくれる人もいない、支援する人も安定せず、不安な状況下で、SNSが発端でこのような事件になってしまった。中心となる話し相手(相談員でなくても)がいれば、状況も変わっていたと思ってしまいます。
僕は、というか「社会福祉士」として何ができるのかを考えさせられています。また『僕が相談支援専門員だったらどうしただろう』と考えてみると、信頼関係を築いたうえで、サービス事業所のことで、とても悩みが深いとは思うが、困った時には役所に聞いて対応をすると思う。
でも、一番大事なのは、本人が「本当の思い」を語ってくれることだと思う。「まぁいいよ」「それでいいよ」で終わらせてはいけない。そして、出来ることをきちんと伝え、受け止められることだと思う。
勝手な意見を述べてすみませんでした。
この新聞記事やニュースでしか情報を得ることができない。ちゃんと知らないと言えないとは思うのですが・・・そこがもどかしい。