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福祉の順番(1)

 福祉の世界では「本人主体」という言葉がある。利用者の意志を尊重しようということも含まれていますが、利用者をヨイショするわけでもなく、支援者が一歩下がるわけでもないと感じています。
 そこで、今回は福祉での「順番」について書いていきます。

利用者が先

 言い方を変えれば「やらせる」ということ。これは、利用者がやる気が高いときにあり得る。
 利用者が先に行なうことで、支援者はどんなふうにやっているのか見れるし、後でフォローすることができる。
 ただ、利用者がこれまでに経験をしたことがあることだったり、自信があることなので、後で支援者がフォローしすぎると、利用者が自信を無くしてしまうことがあるので加減を気をつけないといけない。

利用者が後

 言い方を変えれば「真似をしてもらう」ということ。
 利用者がすくんでしまっていたり、心配している時にまず、支援者のやっていることを見本にしてもらえるようにする。同じようにしていれば、いいと思うけれど、とっさの判断で違うことを要求されてしまう時には、利用者のもとへ戻ってフォローする。
 ただ、ちょっと不利な点は、列で並んでいる時に、距離ができてしまう可能性があるということである。

足並みを揃えて

 言い方を変えれば「共に行なう」ということ。利用者の横に寄り添って、言葉をかけながら、行なっていく。利用者も支援者も間違えることが少ないから、安心できる。
 ただ、このことが長く続いてしまうと「自立」ということが遠のくかもしれない。要するに「誰かが隣にいないとできない」となってしまっては、本人のためにはならない。


 それと、先だとしても、後だとしても、利用者にはそれなりの負担がある。福祉の利用者はどうしても「見られる存在」「監視される(言い方が悪くてすみません)存在」になることが多い。
 もちろん、本人の特性や障害の程度や、周りの環境(初めての場面など)で、本人の動きかたも変わる。また、支援者は利用者のそういう特性があることを理解しながら、支援の方法を場面ごとに変えている。

 ただ、遠慮して、どちらが先か迷っている場合もある。
「自分が先に行なってもいいのだろうか」
「失敗したらどうしようか」と感じている。
 そんな風に思われないために、支援員こそ落ち着いた対応や言葉かけをしていく。慌てて、人前で注意することのないように冷静に対応する必要がある。
 「順番」が関係している時には、他人も関係しているから、人からどのように見られているのかを気にしてしまうことがある。

大人数のとき

 上記のことは、「1対1」を想定して書いてしまいましたが、20人ぐらいで行動するときはどうしていただろうか?

 僕の経験では、例えば「20人の利用者に対して3人の支援者」の場合は

支援者を、先頭と最後尾に配置して、真ん中ぐらいにもう一人

 としていたと思います。3人の支援者が間に挟んだ利用者の様子を見ているという感じである。利用者が困っていたら、一人の支援者がフォローに入る。また、行動が心配な利用者を支援者のすぐそばに置いて、対応がすぐにできるようにする。

 決して、支援者が固まらないように、利用者の様子を見れるようにする。

最後に、

 本当は、利用者のペースで順番を気にせずに行動してほしいと思います。ただ、社会は順番を気にすることが多い。福祉も社会の順番に組み込まれているような気がしています。
 利用者と支援者で「どちらが先なのか」を考える。そのことで上下関係が決まるわけではないとは思います。

 書いていく中で、順番として感じたことが出てきてしまったので、(2)に続きます。

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