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この本はいかが 117
子供は怖い夢を見る
宇佐美まこと 角川書店 2021年9月29日初版発行
始まりから怖いです。まるで全体を暗示するかのようです。
精肉店で働く航 ( わたる ) は、孤独ですが、小さいとき別れ、どこかで生きている妹との再会を夢にしています。そんな彼はガオという不思議な雰囲気の青年に出会います。「金を信じる」と言い、愛情、絆、思慕を否定する割り切った、行動力、経済力のあるガオを、航は否定しません。
途中、航の小学生時代の話が何度かあります。重要なポイントの1つです。
不思議な能力を持つ家族が、また航の前に現れたのはなぜ?
ガオが航をずっとスカウトするのはなぜ?
妹の意識の変化はなぜ?
途中に出てくる感染病は新型コロナを連想しますが、これも重要なポイントの1つとなっています。
展開は急流に飲み込まれ、いろいろな謎が明らかになるにつれて、驚きと悲しみが深まります。
最終ページで、号泣です。
これらの出来事が「子供の怖い夢」でありますよう、どうか…。
航たちの未来を祈ります。