この本はいかが 119
なんどでも生まれる
彩瀬まる ポプラ社 2024年5月27日第1刷発行
引きこもってしまった茂が、再生していく暖かいお話です。
その様子を桜というチャボ( ニワトリ ) の視点で!、描いていきます。
小さな商店街の地域住民の、桜と茂に対する暖かな対応にもほっこりとします。いくつかの家の介護、育児、経済ほか、生活状況を描写することで、周りの様子が目に見えてきます。
桜は難しい言葉は分かりませんが、拾ってくれた茂の事をとても大切にしている、茂も同様で、少しずつ活動をし始める茂を応援したくなります。
しかし、順風満帆ではありません。茂は張り切りすぎるとすぐ寝込むし(精神的な問題で)、バアチャンが倒れる、店の存続危機、など、波はあります。
そんな中で、茂は自身の考えを意識できるようになっていきます。もちろん、桜がそばにいます。
なお、この作品は発表時は『桜と茂』だったのが、加筆・修正されて題名も変わったそうです。『なんどでも生まれる』、秀逸な題名ではないでしょうか。