この本はいかが 004
武士(さむらい)はつらいよ
~蔵元の娘~
稲葉 稔 角川文庫 2024年8月25日初版発行
同シリーズの第2弾です。前作を知らなくても充分面白いです。場所や年号は書かれていなかったと思いますが、江戸時代のお話です。
主人公要之助(ようのすけ)は美園(みその)藩の徒(かち)目付で、城勤めをしています。彼の日常、仕事内容、上司への対応はまさに「武士はつらいよ」。思わず同情します。彼なりに切り換えが上手ですが、ストレスはあるみたいです。
今回は幼馴染のお清の家(造り酒屋)の大ピンチを救うため、仲間と協力して動きます。7つの章に区切られて(各章の題名がとても面白いです、『上役の鬼面見たら下を向け』とか。)読みやすいです。斬り合いや濡れ場はないです。(仲良く手をつないで歩く場面を濡れ場と言えるのか…。)
人物描写は分かりやすく、物語に厚みを持たせています。経済のことも勉強になりました。
そして、見事な終幕にニヤけてしまいました。次作以降もこの終幕路線でお願いしたいです。