見出し画像

機能は増やすんじゃない、いかに絞るかだ

ソフトウェアビジネスでは競合他社に少しでも機能的に優位に立つために、色々と機能をつけたくなるものです。

それは提供側の都合だけという訳でもなく、
顧客からの要望であったり、マーケットのトレンドだったりと色んな要因で「新しい機能への誘惑」
があります。

担当者としては、
マネジメントを説得して予算も計上し、
開発チームの抵抗に負けずにリソース確保し、
マーケティングチームと販促プランを練り上げ、
営業チームと拡販計画に基づいた数字を握り、
新バージョンリリースでの発表では、
ドヤ!
という瞬間へのモチベーションで突き動かされる仕事です。

ところが、それももはや一昔前のことなのかも、と思うことがあります。

顧客納品型のエンタープライズ向けソフトウェアパッケージでは、当たり前だったそういう慣習も、
クラウドサービスの世界では必ずしも正解ではないと最近学んでいます。

自社が勝負できるターゲットを決めて、
そのターゲット顧客に求められる最低十分な機能を洗い出し、ブラッシュアップして、
いかに必要な機能だけに絞るのかに集中して、
低コストでスピード重視でリリースしていく。

まるで、重厚長大なパッケージソフトウェアとは真逆の考え方です。

ですが、そうやって自社の強みを活かした「これだけ!」という機能に絞って成功しているクラウドサービスが市場を賑わしています。

最初、この考え方に馴染むまでは
「いや、顧客の要望があるなら実装すべきではないか?」
そういう思いにとらわれていましたが、それは単なる担当者の「自己マン」かもしれないのかも、と思い始めています。

「うちのサービスはそこのところは範囲外なので、他所に行ってもらっても構いません。その代わり、この部分では他社より優れていますから」

そう自信をもってどれだけ言えるか。
いや、これが本当に難しい。
特に営業に近いほど、これはなかなかに難題です。

ですが、機能が増えるとそれだけバグも、改修コストも、どんどん膨れ上がってきて、ふと気がつくとコアの部分までおざなりになって
「で、オタクの強みは何なの?」
となってしまうケースに陥ります。

機能は増やすんじゃない、いかに絞るかだ

キモに銘じています。

〈了〉

いいなと思ったら応援しよう!