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これはGJ、グローバル企業の一方的な横暴は許しちゃダメ〜VMウェア/ブロードコム

今日の午後、ナイスなニュースが流れてきた。

既にご覧になっている人も多いと思うんですが、コレです。

エンタープライズITの分野ではデファクトとも言える仮想化基盤を提供する米ソフトウェアベンターVMウェアが同じく米半導体大手ブロードコム社に買収されたのが昨年の暮れのこと。

その後、ブロードコム社は既存のパートナーからのソフトウェア新規販売を停止し、価格改定をぶちかまし、まさに絵に描いたような「濡れ手で粟」を行った。

一時期は、ハードウェア更新に伴う見積もりも従来の納入ベンダーから出せなくなったため、
このシステム更改どうすんのこれ?
と困惑する顧客企業も多かったようだ。

日本のエンタープライズITの場合、大手SIerがこうしたインフラ含めてシステム開発納入から保守までワンストップで提供することが多いため、
今回のブロードコム社の突然の商流スキーム変更も多大な混乱を巻き起こし、
VMウェア代替ソリューションを至急検討せよ!という流れを加速するような動きも出てきた。

とは言っても、あまりにも基盤として定着していたため、そう簡単に
「はいそうですか」
と切り替えられる訳もなく、
ブロードコム社もそれを見越しての行動だと思う。

今回の報道にもありますが、おそらく富士通や日鉄ソリューションズなどのこれまでVMウェアを担いでいた大手SIerが顧客が陥っている苦境(もちろん自社のビジネスもだが)を見かねて、陳情したのであろうことは想像に難くない。

それを受けての「独禁法違反」の疑いでの公取の立ち入り検査だが、本当にこれはIT業界の一員としてはGood Job!としか言いようがない。

このブロードコムという企業は以前からも同じようなことをしでかしていて、米CA社の買収がそれである。
米CA社のソフトウェアもエンタープライズ系ITではかなりのユーザー数を誇るベンダーで、僕も前職でかなり深く関わっていたり
ところが、ブロードコム社に買収された途端に、サポートは悪くなる(元々がブロードコム社はソフトウェア本業ではないので当然だ)、
契約体系も一新され、価格も保守費用も爆上げ、
国内パートナースキームも変更、という有様、

ブロードコムが通った後はペンペン草しか生えないという感じか。

この手のポートフォリオだけを見て強引な買収をして巨大化する話は米国IT業界ではこれまでも多くあったが、ブロードコムのケースは特にひどいのではないかと個人的にはみている。

ソフトウェアベンダーすごろくじゃないけれど、
最初は各国のローカル企業に代理店として拡販させて、ある一定のシェアを得たと見るや、
代理店からのロイヤリティだけでは飽き足らず、販売権を取り上げて国内法人を作って、売上は全取りしようとする、
それがこれまでよく見た光景だった。
他所に預けて育ててもらい、たっぷりと太ったら回収する、そんな感じだ。

そこには顧客視点は無くて、株主への目線しかない。
ソフトウェアベンダー経営者が変わったタイミングでよくある話です。

だったらそんな海外ベンダーのソフトウェアは採用しなきゃいいじゃないかという事になるのだが、残念ながら数十年前のレガシー時代からソフトウェアパッケージとしての汎用化は海外ベンダーが一枚も二枚も上手だったから仕方ない。

現在もデジタル赤字が話題になっているが、DXという錦の旗(これも外資コンサルの受け売りだから困ったもんだ)の下、クラウドインフラを使えば使うほどその費用は外資が全部持っていくというスキームに陥ってしまっている。

日本政府なんて、自国のガバメントクラウドにこれも本体は米外資のマイクロソフトに依存しようとしているのだから、本当に嘆かわしい。

なんて、ことを書き始めたらいくらでも書けてしまいキリがないのでこの辺りで終わっておきますが、
とにかく、今回の公取の判断は本当にGJです。
応援します。

〈了〉

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