見出し画像

Spotifyをハックした覆面アーティストAmPmのはなし(右脳×左脳のマーケティング)

AmPm(アムパム)という二人組の日本人覆面アーティストが大好きです。
音楽自体が好きというより、マーケターとして尊敬してます。

あまり日本だと知られていないアーティストですが、2017年3月にリリースしたデビューシングルがわずか半年でSpotifyで800万回再生を突破とのこと。
(うち90%はいきなり海外ユーザー)

知名度ゼロでいきなり世界を獲った覆面ユニットの「ヒットの方程式」

この記事を読んで「すごいなー」と思うのは、知名度ゼロからいきなり数百万再生を達成し全米バイラルチャートで6位にまではいったことももちろんなんですが、なにより「意識してSpotifyをハックすることでそれを実現した」こと。

具体的には、
➀最適な楽曲のリリースのタイミングを過去のチャート実績から分析。
”リリースのタイミングもずっと探っており、厳密にいうとファーストシングルのリリースの直近、半年から1年くらいに遡っていわゆるビルボードチャートなどでどれくらいのBPMの曲が入りやすいのか、キーがどれくらいの曲が何週連続でトップ3に入っているのかというの見て、目星をつけました。”

②Spotifyのバイラルチャートの「仕組み/ロジック」をGitHub上のコードを読み込んでハック。
"Spotifyに関してはバイラルチャートという面白い仕組みがあるので、そこはAmPmのプロジェクトではすごく重要視しています。今回さまざまなプレイリストに入ったきっかけでもあるんですけど、バイラルチャートの仕組みはものすごく解析しました。
実際にGitHubにはSpotifyのプログラマーたちがたくさんいるので、そこでもソースコードをかなり見て、どこの数字をバイラルに反映させてるのかという部分の仮説をたてました。その仮説に対して広告を出すなど、手を打ちましたね。結果としては狙い通り、動きました。運も良かったと思いますが。ですので、アーティストとしてストリーミングで心がけてるところとしては、解析できるものは解析するということです。"


やっていること自体はGoogleのロジックを推測してSEO精度を高めていくことと大して変わらないですし、このような取り組みは色んなプラットフォームで行われていること(例えば楽天市場内SEOなど)ですが、
・音楽というそういう点ではかなり遅れている領域でいち早くプラットフォームの"ハック"に取り組んだこと
・既存の業界構造にとらわれずに自ら楽曲作成からそれをユーザーに届けるところまで、SPA(製造小売)のように一貫して行っていること

がなかなか稀有な存在というか、(ものづくりの領域で同じようなことを実現しようと右往左往している私は)単純に尊敬します。

今後は、モノづくりの領域はもちろんのこと、このAmPmの事例のようにいろんなところで「マーケティングきっかけのDisruption」が起きていくんだろうなーと感じました。
そのような流れの中で今までの構造では生まれてこなかったであろうモノや作品やアートが世に出てくることを想像するとなんだかワクワクします。



いいなと思ったら応援しよう!