ウクライナ戦争は、米国とロシアとの「帝国主義間戦争」へと実体的に変化している
●ウクライナ戦争は、米国の「武器貸与法」(レンドリース法)の決定ーウクライナへの巨額軍事援助によって、米国とロシアとの「帝国主義間戦争」へ、実体的にも変化しつつある!
私は、ウクライナ戦争の勃発後、
「このロシアーウクライナ戦争の政治的性格は、端的にいえば、『米ロ間の帝国主義的争闘戦』(覇権争い)に、ウクライナ民族運動が巻き込まれた、『本質的に帝国主義間戦争』と見るべきだ」としてきた。
ところが、5月9日、米国はウクライナ戦争へのさらなる巨額軍事援助のために、「武器貸与法」に署名し、法律が成立した。
これにより、来年9月末までの間、大統領の権限でウクライナに兵器などの軍事物資を貸与する際に、本来必要な手続きが免除され、迅速な支援が可能になる。つまり、ウクライナへさらなる巨大軍事援助が行われるということだ!
この「武器貸与法」は、第2次世界大戦中の1941年3月、ナチスドイツと戦う、イギリスやソ連などを支援するために活用された歴史があり、この軍事援助によって米国は、事実上第2次大戦に参戦した(英仏露を中心として500億ドル以上を提供、連合国の勝利に貢献)
・そして、これより先、米国は、今年4月28日、ウクライナへの軍事支援などを強化するため、330億ドル(約4兆3000億円)の追加予算承認を連邦議会に求めると発表。これは「武器貸与法」の成立とともに、ウクライナへの武器援助が、際限なく巨額化することになるということだ! https://www.bbc.com/japanese/61267600
●今年2月のウクライナ戦争以降、米国によるウクライナへの軍事支援は、合わせて約38億ドル(約4900億円)であったが、この追加支援を合計すると、368億ドル(約4兆8千億円)というとてつもない巨額だ。
(ウクライナの、2021年の軍事費は約60億ドル。これはイタリアやオーストラリアを上回る、世界11位の規模。2014年のウクライナ東部戦争以来、米国の支援は、国務省によると同国に総額56ドル超の援助)
米国の軍事援助の主要な武器はー、
155ミリ榴弾砲(100門以上)と同砲弾2万5000発、対砲レーダー3基、妨害電波を発信するジャミング装置、対空ミサイル「スティンガー」1400基超、対戦車ミサイル「ジャベリン」5千基超、自爆型の戦術無人機「スイッチブレード」数百機、偵察用無人機のほか、レーザー誘導ロケットや多目的装甲車、通信システム、医薬品など。
●また、EUも、4月13日、兵器供与のため5億ユーロ(約680億円)を追加支援。2月末、EUとして初めて資金拠出することに合意したが、今回の追加拠出でウクライナ軍支援に使えるEU資金は、計15億ユーロ(約2050億円)となり、当初の3倍規模に膨らむ(独軍は、対戦車砲を1000発、携帯可能な地対空ミサイルの「スティンガー」を500発、それぞれウクライナに提供)
●ウクライナ戦争が、このように米国とロシアとの「帝国主義間戦争」へと実体的に変化してきた中ー、
私たちのこのウクライナ戦争に対する基本的スローガンは、
・ロシアの「ウクライナ侵攻弾劾」と合わせて、「米国のウクライナ戦争弾劾」を掲げなければならない。
・そして、ウクライナ戦争への停戦要求は、ロシアーウクライナだけでなく、米国へも要求せねばならない。
特に、米国は、今や唯一この戦争を止める力を持っているが、その米国は、ロシアの弱体化ー分裂化(欧州全覇権)を狙って、戦争を長期的に継続しようとしている。
●強調すべきは、再度、私たちは、このウクライナ戦争に対し、憲法第9条の平和主義思想(全ての戦争・軍隊の廃絶)を掲げて、日本だけでなく、世界へと広げるべきだ(憲法第9条をさらに「非武装実力抵抗」論――「無防備都市宣言」論へ)。
*この憲法第9条の思想と実践なしには、ウクライナ戦争→対中戦争→世界大戦は不可避である!
*日本においては、憲法第9条擁護ー非武装を主張していて、ウクライナ民衆や世界の人々には、「自衛戦争のために銃を取れ」という「平和主義」は、まったくの欺瞞である!
●追加……イラク戦争・アフガン戦争・ベトナム戦争でも、私たちは、「アメリカのイラク戦争反対」などと主張したが、「イラク国家・フセイン支持」は掲げなかった。ベトナムも同じ「アメリカのベトナム戦争反対」だけだ。
参考に!
米軍の知識人の間でも、ウクライナ戦争が、「ロシアとの直接的な戦争に向かっている」との認識が出始めている。いよいよウクライナ戦争は、「ロシアと米軍との帝国主義間戦争」に行き着き始めているのだ!
参考
「●ロシアーウクライナ戦争についての覚え書き的試論! ――反戦平和運動の混乱を止揚するために!」