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『幸せな孤独/前野隆司著』感想文
「孤独」と聞くとマイナスイメージしか浮かばない 。
でもこの本のタイトルは「幸せな孤独」。興味深く手に取ってみた。
自分自身は、今は幸い両親も健在で近くに住んでおり、子供もいて、何でも話せる友人も多くはないけどいるし、パートナーもいる。だから「孤独」と感じることはあまりない。
でも、これからを考えると、そう遠くはない未来に両親は亡くなり、子供は独立する。遠距離恋愛のパートナーとも結婚するという約束はない。
そうなると自分もゆくゆくは孤独になるのではないかと、いつも不安に駆られていたのも事実。
しかも、自分よりもずっとずっと若い20~30代の人たちが、孤独を感じているというデータもあり、そちらも非常に危険だとも思っていた。
この本はタイトル通り、「幸せな孤独」になる考え方、方法を教えてくれている。
人に囲まれていれば孤独ではなくなる、と勘違いする人もいるかもしれない。
少し考えればわかるのだが、周りに人がいてもその人と本音で話せなかったり、否定的なことを言われたり、うまく付き合えず居場所がなくなったりすると、一気に孤独を感じることになる。それならば、始めから一人でいる方がずっと気楽だ。
著者は、「幸せな孤独」を実現するためには、まず、幸せになるメカニズムを知る必要があるという。
人が幸せを感じる要素として、”地位財”と”非地位財”がある。
”地位財”は、お金や社会的地位、資産など、他人と比較をして満足を得られるもので、「もっともっと」と次への欲求が留まることなく、それを失う恐れを常に感じるなど、決して長続きしないもの。
一方、”非地位財”とは長続きする幸せで、例えばやりがいのある仕事ができている、天気が良い日に空を見上げると幸せだと感じたりする、など、それは人によって変わってくるもの。
人と比べなくても自分の心が豊かになるものなので、これこそが、「幸せな孤独」になるポイントのようだ。
ここを一度じっくり考えて、自分の中で定義づけるのがいいのかもしれない。
幸い、孤独である人、つまり一人でいる時間が長い人は、この「自分にとっての非地位財とは何か?」というものをじっくり考える時間が持てる。
それを考えていく上で、1つ、著者の研究のデータが参考になる。
それは、
「美しいものを創る人は、美しいものを見る人より 幸福度が高い」
ということ。
絵画や陶芸など アートな分野で創作活動をすることが、自分の内面を深め、幸せな孤独を実現する近道になるという。上手でなくてもいいらしい。
自分も手芸が好きで、創作活動をしているときは、没頭出来て幸せな時間だ。1人でいるのに孤独など一切感じない。
それでもやはり、人とのふれあいや交流は幸せには欠かせないポイントでもあると思う。
ただ、やみくもに人との出会いを求めたり、友人を作ろうと焦る必要は一切ない。
まずは「ゆる~い繋がり」から試してみると良い。その方法も、この本にはたくさん書かれている。
孤独であることを活かし、自分の幸せを見つけることはいますぐできること。
この本を読むと、孤独な今を楽しみ、将来への不安も消え、今できることが明確になる。今の孤独、将来の孤独を不安に感じている人には、すぐに読んでもらいたい。