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『非武装緩衝地帯から』
夢を見ている自覚はある
両側を有刺鉄線に挟まれた
荒野の道を歩いている
右手を見れば
修羅の国かと思うような殺伐とした風景
飢えに苦しむ人々がこちらへ向かって助けを求めている
もう息をしていないものもいるようだ
フェンスにはドアがあり
門番の兵卒が
手招きをしながら
そのドアを開けて待っている
目を瞑り
急いでその前を駆け抜ける
少し息が切れたところで
立ち止まり
今度は左手を見る
真っ白なバラのような植物で埋め尽くされた
一面の花園
さらには妖精のような生物が舞い
微笑んでいる
こちら側のフェンスにもドアがついている
ただし門番はいない
誘惑に駆られ
ドアノブに手をかけてみる
鍵は締まっておらず
そのまま花園へ足を踏み入れることができた
射殺された
夢から覚めた
射殺の瞬間の心地よさを覚えつつ
私は朝を迎えた