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『"部活をさぼって"』


幸裕ゆきひろくんはサーブが得意だ

ほとんどの試合を幸裕くんのサーブだけで

僕たちのペアは勝ち上がっている


幸裕くんと僕は

小学校低学年からの幼馴染

中学に入って彼がテニス部に僕を誘い

ペアも僕とじゃないといやだって

顧問に嘆願してくれた


幸裕くんのスピードと正確性を備えた

矢のようなサーブは

中学生とは思えない威力


加えてサーブ以外でも

トップレベルの実力があるみたいで

僕が凡庸でも

どんどん勝ち上がっていく


幸裕くんの自宅はとても広くて

庭にはテニスコートがある


"部活をさぼって"

よくそこで僕たちは

練習をしている


ちなみに

幸裕くんのお父さんは

県議会議員


しかも当選回数が多くて

かなり力のある人なんだって


だからこんなに

テニスも強いんだね


全国大会進出をかけた

こないだの県大会

かなり苦戦はしたけど

僕たちはついに

優勝した


とってもとっても

嬉しかった

幸裕くんが泣いていたから

僕までもらい泣きした


ただ納得がいかなかったのは


幸裕くんのお父さんも

ほかの家族も

僕の両親も

それに部活の顧問だって


大人たちは誰一人として

喜んでくれなかったこと


準決勝までは

あんなに応援してくれたのに…


不思議がっていたら

高校生の兄貴が

僕にこっそり教えてくれた


幸裕くんのお父さん

国会議員に

なんども挑戦して

落ちまくってるんだって


そういうことかー


ざんねんだけど

僕たちの全国は

一回戦止まりだと思う




(あとがき)

連日やっていますひと言お題シリーズ。きょうはしめじさんからいただいた「終わりの始まり」をテーマに展開させていただきました。
って言いつつ、終わりの始まりってちょっと意味ちがうかもって思いながら強引に綴りました。ご容赦ください。

しめじさんありがとうございました。


ひと言お題、まだぜんぶこなせていませんが、応募はどんどん受け付けておりますので、よろしくお願いしますね。




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