【料理のなぜ】「塩こしょう」という調味料の正体|この一手間で「料理上手」下味!
前回は、美味しく作るための塩分濃度について解説しました。
今回は番外編として、「塩こしょう」という調味料の正体と、料理において超重要な「下味」について解説していきます。
「塩こしょう」って、すごく便利な調味料ですが、実はあれ単体で料理をするのって、味付けにおいて結構リスキーです…!というか、難しいんですよね。でも逆に、使う場所を考えればすごくラクに上手く活用できるようになります。
そして、「下味」について。
結構地味な作業ですが、料理においてすごくすごーく大切です。
料理の素材と味付けの一体感を作り一つの料理として完成させるのは、「下味」の役割と言っても過言ではありません。その一手間が「料理上手」への近道です!
そんな二つの要素を今日はしっかり解説していきたいと思います。
✅「塩こしょう:適量」の正体を知りたい
✅下味って本当に必要なの?と思ったことがある
✅てかそもそも下味ってなに???
こんなことを思ったことがある方は、ぜひ続きをご覧ください☺️
それでは、やっていきましょう!
【番外編①】「塩こしょう」という調味料は存在しない?そもそも別物論
前回、塩だけレシピを紹介したところで、家庭でよく使われる「塩こしょう」という調味料について少しお話。
炒め物、下味など、パラパラするだけで味付けができてしまう便利なアレ、家庭で使っているよ!と言う方も多いと思います。私もラクなのでよく使います。
でもこのよく使う「塩こしょう」は、よくよく考えると(よく考えなくても?)「塩」と「こしょう」ってそもそも別物なんですよね。
ネットのレシピなんかを見ていると当たり前のように「塩こしょう:適量」という言葉が出てきますし深く考えたことがなかったのですが、学校で色々な勉強をしていると、「そもそも全く別の用途の調味料だったんだな〜」ということが分かってきました。
・「塩」は「五味」の中の「塩味」という「味」のため
・「こしょう」は「香辛料」として「香り付け」のため
つまり、塩とこしょうには、「味」と「香り」という全く別の役割があるんですね。
ちなみに、基本的な味の構成要素である「五味」については、前回の記事で触れています。
特に洋食では下味を「塩」と「こしょう」で付けることも多いです。なので、「塩こしょう」は「塩の味」と「香り」を一度に加えることができるようにした「便利グッズ」というわけです…!
が、
「塩」に関しては、前回も書いたように「塩味」という味に関わっていますよね。濃すぎても薄すぎても「美味しい」と感じられません。「適量」が大切です。これを「塩分濃度1%理論」」を使ってしっかり計算すると、味がピッタリ決まるよ!というのが前回の内容でした。
一方で、「こしょう」に関しては「あくまで香り付け」のポジションになります。入れると料理を風味豊かにしてくれたり、肉などの臭み対策をしてくれます。そしてこの「香り付け」というポジションを理解できると、さらに料理が自由になります。今日は和食だからこしょう無しの塩で下味を、洋食のスープにはこしょうで香り付け、ソテーにスパイシーな香りのブラックペッパーをいっぱいかけよう、などなど。香りを楽しむ「料理のアレンジ」として捉えられるわけですね。
嬉しいのは、「味」には関係がないのでこしょうの量はある程度「感覚」で大丈夫なこと。いわゆる「少々」でOKです◎スパイシーな香りが好きな人は多めに振っても問題ありません。ここはお好みで☺️
つまり、
塩は「きっちり測るもの」
こしょうの「少々はだいたいでOK」
そう考えると、「塩こしょう」という一つの調味料で料理をすることは意外と難しかったりします。パラパラと振っても自分が今どれくらい塩を入れたのかが分からないからですね。
なので私は、バチっと味を決めたい時は必ず単体の塩や醤油など、塩分を計算しやすい調味料を選びます。その方が塩分濃度の計算によって入れるべき分量が分かって、味が整いやすいからです。それに、目安がわかるから「この量で大丈夫かな?」という不安もなくなるんですよね。
(塩意外の醤油や味噌を使った塩分計算についてもまた解説しようと思っているので、ぜひご覧ください◎)
なので、なんでもかんでも「塩こしょう」に頼るのではなくて、場面を選んで使っていくといいかな、と思います。
では逆に、「塩こしょう」に頼っていくとラクになる場面があります。
それは、ズバリ「下味」です!それについてお話していきます。
【番外編②】「塩こしょう:適量」の正体はこれだった…!超重要な「下味」!
下味とは、調理の前に食材にあらかじめ味をつけることです。
実は、調理においてこの「下味」という一手間がすごく重要です。
例えば、鶏の照り焼きを作るとき。
この1.のステップが「下味」です。「塩をひとつまみ振る」大したステップではないと感じるかもしれませんが、これがものすごく大事です。
この工程を忘れてしまうと、鶏肉と照り焼きソースの味が馴染まず、口の中でバラバラに味を感じてしまうんですよね。
「説明に書いてる通りに焼きそばを作ったけど、なんか味が薄い…」となる現象も、だいたい最初に炒める肉の「下味」を忘れていることが多いです。ソース味はするのになんだか具の味がないように感じるんですよね。
日本料理店「分とく山」の料理長である野崎先生も、和食のレシピ本の中で以下のように言っています。
“味の道”と言う表現、すごくかっこいいですよね。
この「味の道」がしっかりついていることで、素材と調味料の間にある隔たりをなくして、道を作ってくれるようなイメージになるのかな、と思います。
この「下味」は、レシピの中で「適量」と書かれることも多いです。
「塩こしょう 適量」ってなんやねん…!
の答えがまさにこの「下味」=「味の道」と言うパターンがかなり多いです。
で、
実はこの下味に関しては、書いている通り「適量」つまり「なんとなくパラパラ〜っとする」程度で大丈夫だったりします。あくまで「味の道」を作ることが目的なので、あまり神経質にならなくて大丈夫。
塩を使う時は、だいたいひとつまみをパラパラするイメージです。
だいたいで大丈夫なので、「塩こしょう」という便利な調味料に頼ればラクですよね〜というわけです。
私が料理をする時に「塩こしょう」を使う場面は「具材を炒めた時」。全体は後で味をつけるけど、とりあえず炒めた具材に下味をつけておこう、という時にとっても便利。
ちなみに、魚の煮付けなど和食の時には「塩のみ」で下味をつけるのが一般的。こしょうはない方が醤油のコクが生かさるかな、と思います。
また、ハンバーグなどソースをかけて食べる料理については、「塩分濃度1%理論」でしっかり計算して味付けをした方が吉。ソースはあくまで添え物なので、本体のお肉にしっかり味がついていた方が美味しく感じられます!
つまり、「メインとなる味付けがどこにあるのか」で下味が適当でいいのか、計算したほうがいいのが変わってくる!ということになります。
以上、「味の道」ができていると素材と味付けをしっかり繋いでくれる。
この簡単な一手間さえ忘れなければ、料理は抜群に美味しく仕上がるよ◎
というお話でした。
【まとめ】「塩こしょう」について考えてみた!
「塩こしょう」はあくまで「塩」と「こしょう」を合わせた便利グッズ!これだけで塩分濃度を決めるのは難しい…!
味をバッチリ決めたい時は、塩や醤油など単体の調味料を!
「下味」=「味の道」この一手間で料理が格段に美味しくなる!
これは塩こしょうを適当に振るのでOK。和食は塩のみで。しかし、ハンバーグなどソースをかける料理はお肉が味付けのメイン!
メイン部分はしっかり塩分濃度を計算しよう!
今回は、改めて「塩こしょう」の存在について考え直したことについて書いてみました。少しでも面白いな、興味深いな、と思ってくださると嬉しいです!
ぜひぜひ、スキやフォロー、コメントもお待ちしております☺️
次回は「これさえ分かればどんな味付けも簡単に!醤油や味噌を使った塩分濃度の計算の仕方」について書いていこうと思います。
ぜひ次の記事でもお待ちしております☺️
それでは。
真子